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第42話 脱走囚の活動

「そろそろ私はスキルを解除してミーレインと会ってきますね」


「私は見守ってあげます」


 まだエルはミーレインたちに姿を見せる気はないらしい。

 まあどう見ても一般人ってな人間じゃないのでそう言うものなんだと思うしかないな。


 ミーレインたちから少し離れた場所にて他の人がいないことも確認後、邪神インビジブルを解除した。

 そして何食わぬ顔で彼女の元に向かった。


「こんにちはミーレインさん」


「あっこんにちはアビトさん」


「精が出ますね、訓練の様子はどうですか?」


「アビトさんなら分かるでしょう? 魔法は一朝一夕で物になるものではありません」


「確かにそうですね」


 やはりこの世界、魔法は誰でも使える便利な力って訳ではないらしい。

 元より才能がものを言う世界なのだろう、日本でもそう言う業界はあったが魔法みたいに派手で優劣がハッキリと表れそうな世界は更に顕著だと予想される。


 きっと彼女もこの若さで魔導師として実力者となるまでにはそれ相応の努力をしてきたんだろう。

 彼女より歳が上だが彼女と同じくらいに努力をしてきたと胸を張れない邪神おじさんは素直にそれが凄いと思った。


 何しろこの世界で私が何とかなってるのって転生した時に手に入れた邪神の不思議パワーとか邪神スキルのお陰でしかないからね。


 日本にいた時の私個人の能力とか知識なんて1ミリの活躍もしていない。

 そもそもファンタジーな世界にそれら凡人の能力とか知識が入り込む余地なんて本来はないのかも知れないな。


 異世界テンプレが何でもかんでもその力を発揮してくれはしないんだろう。

 それはちょっと残念だ。


「それでアビトさんはどうしてこちらに?」


「はいっ少し野暮用で忙しかったので現状のウリーズゲルドと蜥蜴人リザードマンとの状況を教えて欲しかったんですよ」


「そうですか、それなら私が説明しましょう」


「ありがとうございます」


 ミーレインからの説明によると。

 現在このウリーズゲルドの戦力はハロルドが雇っていた騎士団や兵士たちが主力だそうで、ここに脱走囚で構成された新たな騎士団が加わっているらしい。


 ちなみに騎士団も兵士もハロルドとの契約は殆ど機能していないらしい、やはりお金を出せないんじゃそうなるよねっと思った。


 それと無理矢理徴兵された人々は解放されたらしい、これは素直に良かったと思う。

 ウリーズゲルドの一大事なのは分かるが街の人間に犠牲になれなんて命令はどんなに偉くても人間が人間にしていい命令の範囲から越えてる気がするんだよ。


 個人的な話だけどさ。

 責任を負う事の出来ない事はね、どれだけ権力を持っても命令をする資格なんてないんだ。


「しかし多くの人を解放したのならこのウリーズゲルドの戦力は更に下がりますね」


「戦えない者を前線に無理矢理送ったり戦意の無い者を戦わせる方が戦線に悪影響を及ぼします」


「確かにそれも一理ありますね」


 戦争とは無縁だった私じゃその辺りの事は分からない、多分ミーレインの言葉が正しいのだろう。

 その後話は脱走囚の今の活動について移る。


 ガルベスたちがウリーズゲルドの外にいた理由は流石に街を戦場には出来ないのでその手前に戦える兵士や騎士や冒険者を配置して陣形を整える為なんだそうだ。


 そう言えばハロルドもガルベスたちと一緒にいたっけ、ついスルーしていた。

 徐々に大きな戦いの準備が進んでいるのだと感じる、私が頑張る時も近い。


「ところでアビトさんたちは戦争が起こったらどうするんです?」


「流石に戦争にまで顔を突っ込む真似しませんよ、私も死にたくないしイゼルさんにも死んで欲しくありませんからね、私たちは戦争が始まったら余所の街に逃げることにします」


「それで構いません。アビトさんたちには既に十分な程に助けていただきましたから、ここからは私たちの出番です」

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