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第35話 明かされる名前

 どうやら出口付近には常に護衛がいたみたいだ、そりゃそうか相手は仮にも領主だ。

 押し入ってきた騎士たちから離れて義賊が口を開く。


「くそっ拘束失敗した! おっさん、ずらかるぞまたあの女に…」


「イゼルさんならもう居ませんよ?」


 義賊が「は……?」と言ってくる。

 イゼルならこの部屋に来た時点で既にいなかったでしょうに。

 きっと世界の外へと帰ったのだろう。

 実はその事に気付いてマジか~と私も思ってはいた。


 けど彼女は私が牢屋送りにされても基本的にノータッチのスタンスだったからね、あまりこの世界の住人と接触すること自体好まないのかも知れない。


 何でもかんでも便利だからと宛てにされるのは御免なのだろう。

 むしろ瞬間移動をしてここに送ってくれただけでも助かったと考えるべきか。


「彼女は気まぐれな方なので、後は自分たちでなんとかしなさいっと言う事なんでしょうね」


「ウソだろう……?」

「……………」

「ちっこの城のヤツらを相手にか?」

「骨が折れそうね…」


 まあたしかに大変なのは事実だ。

 しかし…。


(ふんふ~~んこんな連中私とアビトさんなら余裕のよっちゃんッスよ~~)


 私の頭上には他の人々には見えざる助っ人がいるので案外余裕があったりするのだ。

 というのは訳で戦闘が始まった。


「お前たち、私を守れ! その賊共を仕留めた者には褒美を与えるぞ!」


 ハロルドは騎士たちに言うだけ言うと速攻で走り去ってしまった。

 褒美を期待してなのか騎士たちは気合いの入った声を上げてこちらに武器を振るってくる。


 相手にするのは元騎士のおっさんとガルベスだ。

 元騎士のおっさんは騎士らしくタンクなのか大きな盾を持っていた。

 それで敵の槍攻撃を一手に引き受ける。


 ガルベスは二刀流の剣で騎士に攻撃を仕掛ける。

 振るわれる剣技は凄まじい猛攻だ、押し入ってきた騎士を出口の向こうへと押し返した。


 そのタイミングで私たちは廊下に出るとやはりと言うべきか既に多数の兵士や騎士たちが集まり出していた。


「こうなれば暴れるだけ暴れてやんよ!」


「我が魔導をお見せしてあげるわ!」


 義賊の青年は短剣を抜いて兵士に迫る、かなりのスピードで鎧で武装した兵士に対応するのは困難そうだ。

 兵士が憎々しげに口を開く。


「キサマ……あの義賊のバレットか!?」


「おっ俺を知ってるなんて嬉しいね~」


「黙れ! 薄汚い盗っ人風情がーー!」


「へへっそれなら特製のプレゼントをくれてやるよ!」


 義賊ことバレットね、彼はスピードを生かして鎧の関節部分にスッと短剣を入れて浅く切った。

 致命傷には決してならないように加減した一撃、しかしそれを食らった兵士は数秒後には身体が動かなくなっていた。


 恐らく毒の類か、義賊のわりになかなかエグい戦法を取るもんだ。


「安心しろ、単なるマヒ毒だから小一時間もすれば回復する。俺は殺しは出来るだけしないのが流儀なんだ」


 本当に義賊ムーブしてる。

 ちょっと格好いいじゃないか。

 最初はおっさんおっさん五月蝿いよと思っていたがちょっとだけ見直したぞバレット。


 一方で元騎士のおっさんは相変わらず他の騎士たちの攻撃を上手いこと防いでいた。


「お前は……ドルフか!?」


「久しぶりだな、ズゲール」


「……まさか主に剣を向けるとはな、落ちたもんだ!」


「街の人々の為だ……何より俺の妻に手を出した貴様だけはゆるさーーん!」


 何やら向こうは向こうでかな~り興味深いストーリー展開をしているな。

 あの二人の騎士の戦いを見てみたい気持ちもある。

 しかしそんな事知るかとばかりに猛る金髪美人が吼えた!


「牢屋の時とは違うのよ! 『アイスブリザード』!」


 ミーレインが氷の暴風を放つような魔法を発動した。

 牢屋の時よりも魔法がかなり強力になっているように感じた。

 恐らく装備を整えた事で能力が向上したのだろうとゲームおじさんとしては解析している。


 装備はちゃんと装備してこそ意味がある……こう言う事だったのか!

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