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第34話 ストーリー展開

 そんなわけで早速イゼルに…。


(ご主人様、この人間たちの相手などせずとも全て始末してその領主も同じようにすればいいのでは?)


(イゼルさん、流石にそこまで振り切った真似をするのはどうしょうもなくなった時です。既に蜥蜴人リザードマンがこの街を侵攻してる訳でもないんですから穏便に行きましょうよ)


 確かにイゼルの言うようにそもそも彼らを助ける必要も相手にする意味も本来我々にはない。


 話の流れも少々強引だし。

 しかしそう言うのに元はゲーマーだった邪神おじさん、少し心当たりがある。

 それはストーリー展開だ。


 『ワールドエンドゴッド』はオンラインゲームではあるが、他のプレイヤーとの協力コンテンツは最低限で基本的にはソロプレイ用のゲームだ。


 やった事はないので恐らくとしか言えないが、基本的にオープンワールドでプレイヤーが何処に行っても何かしらのストーリー展開があると言う設計をされているゲームだった筈だ。


 つまりこれはこの世界がゲームだった頃の仕様を引き継いだ何かしらのメインストーリーの可能性がある。


 ほらっその手のストーリーって大抵が「何でそれに我々が巻き込まれるの?」って話が多いじゃないか。


 イゼルの不満はそれだよそれ。

 そんな思いを心のすみっこに残しつつ我々ゲーマーはロールプレイの名の下に自然とその話に合わせて空気を読んで頑張るのである。


 やがて世界を救うとか王女を救うとか、なんかそんな感じのハッピーエンドの為に!

 ……あっこれ胸クソエンドばっかのゲームの世界だったわ。


(お願い出来ませんか?)


(………分かりました)

「………それでは領主の城に向かう者はこちらに来なさい」


 ふう、イゼルはもう少し理知的な人だと思ってたら結構短気な性格なのかな?


 まあ確かに本来の予定とは違うが、領主を前線に引きずり出したいのは私も同じなのだ。

 ここはこの脱走囚たちの行動に便乗しても良いじゃないか。


 そして私とイゼル、脱走囚からはミーレインとガルベスと義賊と元騎士の計六人(本当は七人)のメンバーで領主のハロルドのお城に向かった。


 移動はイゼルの瞬間移動で一瞬だった、彼女が片手を水平に振るうと周囲の景色が一瞬で変わった。


 小綺麗な内装から気合いを入れて綺麗に掃除されているらしき内装へ。

 天井にはシャンデリアがあり床には赤い絨毯が敷かれている………が家具などはとても貴族さまらしい感じはしないな。


 私が見ても分かる、普通と言うかちょっとボロい…傭兵団の団長に財産を全て奪われたって話は本当らしい。


「なっななな何者だ貴様らぁあっ!?」


 そしてとっても驚いているアラフォーくらいのおっさんが一人。

 青い瞳を持ち、金髪を肩まで伸ばしたナイスミドルである。

 貴族らしい高そうな衣服を着ている。


 多分この人がハロルドなんだろう。

 イゼルは本当にストレートな仕事をしてくれたようだ。


「落ち着いて下さい、私たちは…」


「ハロルド! 貴様よくも蜥蜴人リザードマンとの戦争なんぞ起こしてくれたな!」


「責任を取ってその首を連中に差し出しなさい!」


「ッ!?」


 先ずは話を、と思った矢先に元騎士のおっさんと金髪美人のミーレインが怒鳴るように話し出した。


 当然ながら保身を第一にしているらしきハロルドの態度は硬くなる。


「キッキサマもヤツらと同じか!? 私も騙されたのだ、あの傭兵共に財産を全て奪われ城で働く者たちにも満足に給金も出せんのに……そのうえ蜥蜴人リザードマンの相手をしろだと!?」


 それが日頃から偉そうにしてる、実際に偉い人間の仕事でしょうに。

 普通の人間が出来ない事をするからおたくは領主なんてやってんじゃないの?


「ハロルドさんよ…あんたがどうにかしなかったらこのウリーズゲルドの人間は皆殺しか蜥蜴人リザードマンの奴隷になるかも知れないんだ、それを分かってるのか?」


「うぐっだ、黙れ! もう私は誰も信じないし誰の指図も受けんぞ…そう決めたのだ!」


 気持ちは分かるけど…。

 余程のこと例の傭兵団の団長から手痛い裏切りを受けたんだろう。


 まっ自分が前線に出てる間にこの城から財産を全て奪われたら普通に人間不信になるか。


「……この賊共が! お前たち侵入者だーーーー!」


 ハロルドは大声を出して部屋の出口から出ようとする。

 義賊の青年と騎士のおっさんが動いて出口の前に立った。

 しかし出口の向こうから数人の騎士が押し入って来る。


 二人は槍を向けられ動きを邪魔された、その隙を突いてハロルドは騎士たちの方へと逃げた。


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