第3話 牢屋の金髪美人とカルマゲージ
さすがにここで邪神スキルを使って彼らを始末するとかはしたくない、彼らも仕事なのだから。
と言う訳で私はさしたる抵抗もせずに兵士たちに連行されていった。
イゼルさんや、別に今ここで助けてくれても全然構わないんですよ?
ヘルプミー。
助けはなかった。
「おらっここに入れ」
「…………はい」
私が連れて来られたのは外観が石造りの大きな建造物だった、建物と言うよりは砦って感じの場所でそこの地下へと続く階段を降りた所に幾つもある牢屋の一つに入るようにとのこと。
そこに有無も言わさずに入れられてしまった。
もちろん出ようと思えば出られるが、私は何か悪い事をした訳でもないのでしばらく待てば普通に出してもらえないかと期待している。
私は犯罪とかはしてないんだ。
それで裁判も無しで牢屋に服役とはさすがにならないだろうと思いたい。
あっそう言えばこの牢屋、何でか先客がいた。
「こっこんにちは…」
「……………」
歳は二十歳くらいだろうか、肩まで届くくらいの綺麗な金髪と赤い瞳を持つキリッとした目つきの女性である。
少し汚れた囚人服を着ているが手足も長くスタイルも良い、モデルさんが変な趣味のコスプレをしているみたいだ。
そんな金髪美人は挨拶をしたこちらを睨みつけるように見られている。
何か失礼な事でも私はしてしまったのか?
何故かリーマンスーツ姿のまま投獄されてしまったので変な格好をしてる訳は無いはずだけど…。
「あの、私は何か気に障る事を…」
「黙りなさい」
まさかの黙りなさい発動。
そしてその一言以降は何にも話してもくれなくなった金髪美人。
私が一体何をしたと言うんだよ。
さすがにここまで邪険にされるのは納得がいかない、まあ私が彼女の立場で同じ牢屋に変なおっさんが入ってきたら……。
……あっ多分私も黙れって言って牽制くらいしてしまうかも。
或いは失せろとかもっと攻撃的な言葉を使うかもしんない。
やはり相手の立場に立って物を考えるのは大事って事だな、彼女には邪険にされるとアラサーの心がしんみりする事を理解して欲しいです。
……しかし悪人ではないのだ。
それは確信出来る、何故なら邪神には相手が悪人かどうかを見分ける事が出来るから。
少し集中して相手を見ると傍らに縦線のゲージが現れる。
これはカルマゲージと呼ばれる『ワールドエンドゴッド』のキャラクターの悪人度合いを示すものだ。
ゲージにはラインが設定されており、それを超えるとゲージの色が変わっていくのだ。
緑色から始まり黄色、赤色、黒色へと変化する。
緑色のゲージは善人。
黄色は碌でなしから軽度の犯罪者。
赤色は結構な悪党で重度の犯罪者。
黒色は完全にアウトな大悪党と分類されている。
これは元のゲージの仕様が反映されているようだ、なんでそんな仕様がゲームにあるのかというと。
これは邪神はこの世界で生きている存在を利用して世界を滅ぼそうとするゲームなのでこのカルマゲージの高いヤツほど邪神の仲間に出来たり洗脳し易くなるのである。
緑色はほぼ無理、黄色はそこそこの確立で仲間に出来るし操れる。
赤色は高い確立で下僕に出来るし支配下に置くことが出来る。
黒色とか狂信者にも傀儡人形みたいに完全支配すら出来る……とネットには書いてあったよ。
つまり邪神は悪いヤツ程自由自在に支配出来るのさ、なんか邪神らしい能力だよね。
そのカルマゲージを確認したら彼女のは緑色のグリーンラインだったので悪人ではないと判断出来たのだ。