第25話 女店主のクイラ
中を見てみると……おおっ凄い。
案外中は広く店の中心には円形の段々状の棚が設置されていて様々な物が置いてある。
両側の壁も棚になっていてこれまたファンタジーというか何というか。
とにかく用途不明な様々な魔道具だかアイテムだかが陳列されていた。
そして店の置くにはカウンター。
そちらの方を見ると誰かいた。
「おや? まさか人間のお客とは珍しいな……」
「失礼します」
「こんちわッス~~」
カウンターの置くには椅子があり、その椅子に座って本を読んでいた。
その人は二十歳くらいの女性だ。
黒い髪のショートカットで毛先が跳ねてる、目つき鋭く瞳は茶色だ。
静かな雰囲気なのだが、どこか野性味というか意志の強さを感じる。
服装は白を基調としたノースリーブの服だ、それは前方のみしか布がなく複数の細めのベルトで固定している、中に黒のインナーのようなの着ている。
下は黒のミニスカートで足には黒のハイソックスみたいのをしてた。
身体のあちこちに金に宝石を嵌めてるアミュレット的なアクセサリーを複数付けている、魔導師なのかな?
そしてヒールブーツを履いてる、なんでカウンター越しに分かるかと言うと足組んで椅子に座ってたから。
あのポーズを自然とやれる足の長さが私も欲しかった。
どうしても足が短いタイプの日本人だとなかなかね…。
接客の態度としては文句を言う輩もいそうだが、個人的にはカウンターでずっと立ちっぱもシンドイと思うので時間ごとに切り替えて良いとか思ってる。
そういうお店の人間に対してむやみやたらと口出しするのが正しいって考えは苦手だ、もう少し大らかに生きていこうよお互いにさ。
そんな関係の無いことを思ってるとエルがフヨ~とそのカウンターの女性の元に向かった。
「久しぶりッス、クイラ。この人はアビトさんで人間かは不明ッス、ただ者では無いみたいなんでここに連れて来ました」
「お前のお眼鏡に引っ掛かるだけ大したもんだ、私はクイラ。よろしくなアビト」
「よろしくお願いします」
なんか距離感が妙に近い、けどこれからも贔屓にしたりする可能性を考えるならこれくらいの距離感が丁度良いのかも知れないな。
では改めてこの店に来た目的を話そう。
「実は数日前に頭のおかしい異常者に襲われてしまって、なんでも私の気配とやらは独特で離れていても分かるとか……そこでエルが言うにはここにはその変質者の感知を誤魔化せる魔道具とかアイテムがこの店にあると言うので来たんですが」
「……………」
「気配をか……ん? エル、何をそんなジッとアビトをみてるんだ?」
私はエルの変質者とはまさか…と言う視線を無視しながら話を進める。
まあはぐらかして仕方ないのでその相手とは『狂剣の戦姫』である事も普通に話した。
「にはははっ! 何者かと思えばまさかあのイカレた女にストーキングされたって? しかもアイツからエルが宿った短剣を奪うって、アビト~お前見た目によらずなかなか肝っ玉太いなぁっ!」
肝っ玉って太いもんだっけ?
まあいいか。
ちなみに自分のそっくりさんを変質者として扱われたエルは無言で私の耳を引っ張ってくるので辞めて欲しい。
「……まあそんな訳でッス、クイラ、この冴えないおじさんにそのただでさえ薄い存在感を更に薄くする感じの魔法が掛かったアクセサリーとかありませんか?」
言葉の端々に悪意を感じるぞこのちびキャラめ。
しかし先方にはこちらの欲しい物の概要は十分に伝わっただろう。
普通に考えるとあんなバグキャラのセンサーから逃れるアイテムとか滅多に用意出来る代物だとはゲーマー的に考えると難しいと思う。
しかしこちらの注文に対してクイラはあっけらかんと答えた。
「それならベストなアイテムがあるぞ、身に着けるアクセサリーの一種だけだがな。ある意味目立つがあの狂剣の索敵能力を誤魔化すってんならこれが一番だ」
そう言うと読みかけの本をカウンターに置いてカウンターからお店の方に来る。
そして私から見て左側の陳列棚に向かっていくと……。
そこにあった黒くてなんか禍々しい感じの顔の上半分を隠す仮面を手に取った。




