13pt 取り巻きを遊ばせるのも
光の取り巻きとなった子たちが数日もしない間に抜けていったが、それは予想通りであり予定通りでもある。
だが、
「あなたたちは抜けなかったんですのね」
「「「「そうだね(だな)」」」」
驚くべきことに例の挨拶を返してきた者達。つまり光が最初の方に取り巻きとした者達は抜けなかったのだ。これは予想外である。
先に入った者達は罰金も何も言っていなかったため真っ先に抜けると思っていたが、
「これも経験だろうって言ってた」
「うんうん。この程度で揺らぐようなものじゃないって言ってたし」
「あ、あの。『りすく』と『りたーん』を見極めればこうするのが1番って言ってたよ」
「おぉ~。さすがは大手財閥の総帥。余裕が違いますわね」
それぞれの親が、これにより失う者より得られるものの方が多いと考えたようだった。
どうせ抜けるのはいつでもできるのだから、最大限得られるものを得させてから抜けさせればいいとでも思っていそうだ。
「とりあえず集まりましたし、私の会社の見学にでも行きまして?」
「会社の見学?」
「えぇ~。普段見てるぞ」
炎勝は不満そうに言葉を発し、それ以外は不思議そうな顔をしている。そんなことをして何が楽しいのかとでも言うように。
普段から彼ら彼女らは財閥の人間として生活しており、会社の様子を見ることも多い。慣れたものであり、あまり楽しみに感じられないのは当たり前だ。
だが、だからこそ、
「教えてあげますわ。格の違いというものを!」
光は取り巻きたちを連れ。自分の持っている会社へと突撃していく。
そこで待っているのは、
「う、うわぁ!すごぉい!!」
「全然違う………」
「良いなぁ。僕の家もこんな風にすればいいのに」
目を輝かせる子供達。
見学やアウトドアが嫌いそうな面倒くさがりの眼鏡幼児零里であっても、さすがに他の子たちと同じように目を輝かせている。
光が連れてきたこの貸家は、彼女が持っている中でも特に最新技術の開発を専門に行う場所。
そこでは色々なアイデアの結晶があふれかえっており、
「………………このようにしますと、パワードスーツになりまして」
「うおおおおおぉぉぉぉ!!!!かっけぇぇぇぇぇ!!!!!」
「の、乗ってみたい」
「ふむ。僕は見ているだけでいいが、確かにかっこいいな」
物語やアニメなどに出てきそうなものの数々。
その中でも特に派手でありながら実用性は低そうなものを中心に取り巻きたちと見て回る。
楽しませることはしつつも、できるだけ自分たちの重要な情報は渡さないように。
実はこの大したことないと判断して見せているものの数々も、数世代昔の開発だったりする。
「欲しい!これ欲しい!」
「僕も!僕もこれ欲しい!!」
「残念ながら非売品でしてよ」
「えぇ~」
「そうなのぉ?お父様が、お金ならいくらでもあるって言ってたよぉ」
「いくら積まれてもさすがに差し上げられませんわ。また集まるときには使わせて差し上げますので我慢してくださいまし」
「本当か!絶対だぞ!約束だからな!!」
「また来るからね!」
「はいはい」
炎勝と下僕である作弥。そして黙っているが零里。
この3人には見た目がいわゆる少年向けとして人気が出そうなロボット風のパワードスーツを非常に気に入ってもらえたようだった。3人とも目を輝かせている。
では、ここまで出てきていない1人。
取り巻きの中では紅一点である小百合は楽しめていないのか。
というと、それが実はそういうこともなく、
「こちらが高速人形用服量産機でございまして」
「す、すごぉい!速い!速いよ!!」
「1秒間に約60枚の人形用の服を生産しております」
「な、なんかよく分からないけどすごい!」
彼女の前の前では、いくつもの服。それも、いわゆる人形遊びで使うような人形の服が量産されていた。
人形遊びの好きな年ごろなようで、その量産されてできた服を人形に着させている。
圧倒的に着させる速度が生産速度に追いついていないのだが、それでも楽しそうだから良しである。
「あれが人形用でなければそのまま販売できましたのに。残念ですわ」
「そうですね。ただ、製作者が異様に人形、いえ、お子さんの好きな方でして」
「お子さん?子供が………………って、あぁ。人形好きな大人は人形のことをお子さんと呼び合うんでしたかしら?」
「その通りでございます。なかなかにその………………こだわりの強い人でして」
この機械だって、通常の人の服を作ることができれば売れたのだ。
というか実際、この機会を解析して作られた機械なんかは商品化されたりしている。だからこそ製作者にそういった才能があるのは間違いないのだが、それでもそういうヲタクなので会社の思うようには動いてくれないものなのである。
「「「「楽しぃ!!」」」」
「まあ、楽しんでもらえてるから問題はありませんわね」
商品化されずとも。人を笑顔にすることはできた。
それだけでも光は製作者たちが報われるだろうと心の中で安らかに思うのだった。




