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11pt 面倒くさいから取り巻きに?

「6だ!」


「では私は14で」


お互い次の数字を予想する、

かけに負ければ嫌いな野菜を食べなければならないという地獄が待ち受けているため、炎勝は真剣な表情をしている。

逆に光は余裕の表情。


 ――当たっても当たらなくてもどちらでもいいからねぇ。


野菜は問題なく食べられる光にとっては、ただ相手を苦しめて取り巻きにするための遊びでしかない。

1つ数字が発表されるごとに、


「ん。2人ともはずれですわね」


「なっ!ば、馬鹿な!」


「ほら。踊ってないで早く食べますわよ。次の予想もしなければならないんですから」


光は素早く自分と炎勝2人分の野菜をとりわけ、そのうち1つを炎勝へと手渡す。

彼はおびえたような表情でそれを受け取り、


「そ、そっちの方が少ないだろ!」


「では交換します?かまいませんわよ?」


「あ、ああ。じゃあ、交換………………うげぇ」


隣の芝生は青く見える。

ということで炎勝は光と食べる皿を好感したものの、結局は苦しむことになるのだった。無理矢理飲み込んだ炎勝はすでに涙目である、

そんな彼を横目に見つつ、光はペロッと平らげ、


「では次は23ですわ」


「うっ。じゃあ、8」


次の賭けに移る。

光に目線で促された炎勝は、非常にしおらしくなりながらも答えた。ちなみにいまだ彼の皿には野菜が残っている。

そんな彼を見ながら、


「あっ。じゃあ、次の数字が出るまでに食べきれなくても負けということでどうですの?」


「わ、分かった」


光の提案に、炎勝はうなずいてしまう。

あまりにも分かり切った有利なルールの追加だとしても、彼にはそれに思い至ることはできなかったのだ。子供なので仕方ない事ではある。

が、


「ほら。もう発表されますわよ。負けてしまいますわよ」


「うぐぐぐぐぐっ!………………ほら!食べた!食べたぞ!!」


「おぉ。よく頑張りましたわね、では、次の数字がどうなるか待ちましょうか」


炎勝はどうにか乗り越えた。皿の野菜を平らげたのである。

だが、いくら頑張ったとはいっても勝負は1回では終わらない。どちらかが取り巻きになるまで終わらないのだ。


暫くそんな時間が続く。

進んでいくごとに、炎勝の食べるペースは落ちていった。

そんな中、


「ふむ。君たちは何をしているんだ?」


「あら。あなたは白金の」


零里(れいり)だ」


白金零里。

彼もまた、光の挨拶に答えた中の1人だ。

彼はほかの子供達とは違い表情の変化に乏しく、どこか冷たい印象を受ける。他の子供たちが暴れている時は遠くに離れて傍観し、鼻の上に乗る眼鏡を何度か押し上げてそれらしい雰囲気を醸し出していた。


「今はビンゴの数字を当てるというゲームをしているんですわ」


「ふむ?では、その野菜は?」


「これは外した際の罰ゲームですの。もしこれを次の数字が発表されるまでに食べきることができなければ、相手の取り巻きとなるルールになっていますわ」


「ほぅ」


もう少し年齢が上であれば「興味深い」とでもいうような言葉が飛び出してきそうな雰囲気で零里はメガネを中指でクイッとする。


「取り巻きか。そろそろ作ってきた方が良いとは僕も言われているが」


「あら。そうなんですの?」


「ああ。だが、面倒くさい」


「あらあら。正直ですわね」


光も思わず苦笑いを浮かべる。

だが、実際彼の言う面倒くさいという気持ちが理解できないわけではなかった。

取り巻きを作れば、その取り巻きたちは自分で管理しなければならない。あまりにも相手をしなかったりすると、取り巻きを大事にしていないということで責められる理由になってしまうのだ。

最低でも月に1度は会って話をするなりしなければならないというのが、財閥の間の常識のようになっていた。


それを面倒くさいという彼に、光は少し良くないことを思いついてしまう。

それが、


「なら、あなた私の取り巻きにでもなりまして?」


「君の?」


「ええ。わたしのですわ。そうすれば自分の取り巻きを作る事なしに、知り合いは増やせますわよ」


「………………なるほど?確かにそうかもしれない」


その考えはなかったと目を見開く零里。

面倒くさくて見えていないようだが、その場合は光の下に着くことになるので財閥的な上下関係ができることになる。それは確実に影響力などの面で黒金財閥に後れを取ることを意味するのだが。

とりあえず零里にそれを気にするそぶりはない。

親からは取り巻きを作る理由を、つながりを作るため程度にしか教わっていないのだ。


「ただ私の取り巻きになるにはこの勝負で私が勝たなければなりませんので、少し待ってくださいまし」


「ああ。そうだな。分かった」


誰かの取り巻きが取り巻きを持つ、ということは基本的にはできない。

そのため、光は炎勝に勝つ。とまではいかなくても負けないようにしなければならないのだ。


「ということで、炎勝。張り切って次も行きますわよ」


「う、うぐぅ。もう無理!もう………………」


「あら?では負けをお認めになりまして?」


「そ、それは………くぅぅぅ!!やってやるよおおぉぉぉぉ!!!!」


「ふふっ。その意気ですわ。頑張ってくださいまし」


自らを奮い立たせ、次の勝負へと向かう炎勝。

その未来は、決して明るいものには見えなかった。

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