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6.愛の逸材

 天使は今一度二人の経歴を見直し確認していた。なぜこの二人が選ばれたのかをしっかり見極めようと考えたからである。



 少年は愛を知らなかった。


 彼はその異常なまでのカリスマ性とでも言える力で、近づく女性を虜にしてしまう。本人は母を知らぬまま育ったのだが、それはまだ赤子だった彼を溺愛しすぎた母親が、周囲の女性全てを敵視し、最終的には病院の看護師数人を刺殺してしまったことが発端だった。


 精神鑑定の結果により罪は大分軽くなったがそれでも八年ほど服役しており、出所したころには、父親は住む場所を変え仕事を変え親子二人でひっそりと暮らしていた。しかし父親もまた一般社会で生きていくには常識が足りず、社会的にはずれた(・・・)考えを持つ父子となってしまった。


 そんな事情を知らない少年は母の愛を知らぬまま成長し、中学校へ上がる辺りで貧乏ゆえの小遣い欲しさに、彼を求めてきた女性へ肉体(からだ)を売った。これを契機に自分は女性に好かれやすいと気づき、家にはほとんど帰らず多数の女性を相手にしながらその家を転々としながら生活している。


 そんな少年が女性を愛することがなく肉体関係のみとわかっていても親身になってくれる女性はいるもので、現在はセックスフレンドの一人である大学生の女性がほぼ無理やりに高校へ通わせている。


 少年とセフレたちは、およそ月に一度のペースで独り暮らしのメンバーを集めた会議と呼ぶ場を設けており、次月の宿泊場所はその時に女性同士の話し合いで決められる。ただし毎週日曜日は(くだん)の大学生宅に泊まり、月曜は必ず学校へ行くことが彼女たちの総意であり、少年もそれに従うと言う不思議な関係だ。



 少女は愛を渇望していた。


 彼女はどこにでもいるごく普通の夫婦から産まれ、二歳頃まではなに不自由なく幸せに育っていた。しかし姑と折り合いが悪かったことで夫婦仲も怪しくなり、とうとう家を出されてしまう。嫁ぎ先は地方の名家であったため、跡継ぎにならない女子はいらぬと母子で放り出された後に住まいを転々としていた。


 定住先が決まった後はパートをしながら母娘で頑張っていたのだが、寂しさからか、とある男性を家に引き入れてしまった。少女はその男から暴力を振るわれ、一時は児童相談所へ保護されたこともある。しかし母親の申し出により再び家へ戻されると、また同じ生活が待っていた。


 小学校へあがるころには暴力は少なくなっていたが、その代わりに性的虐待の対象となってしまい、妬んだ母親は酒におぼれ身体を売って生活するようになる。少女は小学校の教師や児童相談所へ助けを求めたが、母親が同意せずに家から助け出しては貰えなかった。


 その代わりに見知らぬ人へと助けを求めるように繁華街の徘徊をはじめ、中学校へあがる前には行きずりの男性から肉体を対価に小遣いをもらうようになっていた。その後警察の厄介になったことが切っ掛けで荒れた生活が白日のものとなり、同居の男は淫行や暴行等で逮捕有罪服役、母親は精神病院へ収監され、本人は児童保護施設へと引き取られた。


 そうは言ってもそんな窮屈な場所に留まれる彼女ではなく、夜な夜な繁華街へと出掛けるのが日課だ。それでも勉学には非凡な才を見せ近隣では高ランクに属する公立高校に合格し夜の街でもJKブランドを最大限に活かしている。


 ちなみに、後見人にはきちんと生活していると誤魔化して伝えるよう、保護施設の担当員を『肉体』で買収済みである。



 天使は初めて女神に感謝していた。どうやったらこんな素晴らしい逸材が見つかるのだろうか、と。この二人と周囲からなら様々な濁った欲望の愛が汲みあげられるはずだ。そう考えるとこれからが楽しみな天使だった。


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