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10.愛は唐突に

 校舎から出てきた女子生徒を見た瞬間、高波は突如暴走しその子を口説き始めた。どうやら本当に運命の出会いがあったなんて、と思いつつ、当初の目的が果たせなくなりそうになっている金子はタイミングを見て割り込む。


「よお、ナミタカよぉ、やっぱ俺は帰るよ。

 なんかテンション下がってきたかんさぁ。

 テニス部かどうかもわかんねえしな」


「まあここまで来たんだから言ってみようぜ。

 つか適当に聞き込みした方が早いかもしんねえな。

 あ、コイツはミチって言うんだってさ。

 今日から俺の彼女ね」


「はあっ? お前何言ってんの? あり得ねえだろ。

 いや別にダメだって言ってるわけじゃねえよ?

 でも普通に考えて誰がそんなこと信じるのかって話だろ。

 つーか連絡先渡すのにゴムにアド書くのやめろっての」


「タカシもカッコいいけど友達もイケてるね、コンチー

 とりあえずテニス部まで行ってみようよ」


 こうして美知子が合流し三人で立ち話をしていると、色違いのスカーフを見につけた女子生徒数人が近づいてきた。


「ねえサセ子、こんなとこで東高生と何やってんの?

 どうせまた股開くからあそぼーとかやってんだろ?

 ちょっとイケメンさんさ、こいつは誰とでもヤル超サセ子だよ?

 そんな真っ黒びろびろ女なんて相手するのやめときなよ」


「マジで!? ミチってサセ子なん? 今時昭和かよってワードでウケるな。

 オレも大体毎日違う相手とヤッてっし似た者同士じゃん。

 なんかすげえ仲良くなれそうな気がしてきたわ。

 ありがとね、親切なモブ子ちゃん、ちなみに二年生だったりする?」


「なにコイツ…… 顔はいいけどバカっぽい……

 んで私たちは二年生だけどそれがどうかしたの?

 テニス部の二年に用らしいじゃん?」


「そうなんだよね、人探ししててさ。

 飯塚桃子って知ってる? テニス部か知らんけど。

 中学の友達なんだけど連絡先わかんなくなっちゃってさ」


「飯塚さんなら確かにテニス部だけど……

 同じクラスだし、ああいうのがタイプなわけ?

 その割にサセ子のことナンパしたりして意味わかんない」


「いいのいいの、人のことなんてわかんないもんだからな。

 もしオレとシたいって思ってるなら連絡先教えてもいいけど?

 全員開脚レベル高くて(貞操緩そうで)魅力的だけど、オレってこう見えてノーマルだから複数は無しでね」


「ふっ、ふざっけんな! キモ! 帰れ!」


「ちょっとタカシー、彼女の前でナンパってどういうこと?

 ウチがかわいそうじゃん」


「なんつーの? 据え膳食わねど高楊枝、みたいな?

 社交辞令だしデザート別腹って感じよ」


「たしかにー、それなら仕方ないね。

 ウチも結構別腹派だし、でもこれからはタカシ一筋になるね。

 カッコも戻すよ、タカシがサセ子連れてたら恥かかせちゃうし、いい子に見られたいもん」


「全然気にしなくていいってば。

 他にヤりてえ男いたらヤってもいいし、それが自然じゃん?

 ムリすると続かねえからお互いちょっとずつ慣れて行けばいいってことにしよ?」


 もうここまでくるとノロケを聞かされているようでうんざりしてきた金子は、もう自分だけでテニスコートへ向かおうと歩き出した。そこへ美知子が駆け寄っていく。


「ねえタカシのお友達さん、二人は仲いいの?

 ウチは友達いないからなんかウラヤマだよー」


「ちょっとお前! 押し付けんじゃねえよ。

 こっちはナミタカと違ってとっかえひっかえじゃねんだから刺激が強えよ?

 そんなのに、このバカにそそのかされてこんなとこまで来ちまってさ。

 派手に振られたら誰か紹介してもらうかんな!」


「麻美ちゃんならすぐだけどもうすぐ十八だから年上だよ?

 でももしかしたらお金かかっちゃうかもかなぁ

 麻美ちゃんはホスト大好きなんだよね」


「いや、その子は勘弁してほしいわ……

 クラスメートとかで充分だからその時はお願いするよ」


「なに言ってんの金ちゃん、桃子とうまく行くって。

 オレなんか確信あるから張り切って行こー!」


 そして三人がテニスコートまで行くと確かに飯塚桃子はそこにいた。確かにいたが、それは二人の知っている桃子ではなかった……


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