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旦那様はお仕事にいかれましたか?

お読みいただけたら幸いです。

 人前式を終えた後、閨に(ともな)われ一夜を共にしました。


 目覚めた時には足の間に何かが挟まったような感覚が残る体を私は持て余してしまいました。


 仕事に向かわれた旦那様を思い出し、強い力で翻弄された昨夜のことを思い出し一人、赤面してしまいます。

 

 メイドに一度ベッドから降りて欲しいと頼まれ、ベッドから降りると、シーツが剥がされていく。

 初夜の印が残されたシーツを目にして恥ずかしさのあまり顔は真っ赤になってしまいました。



 旦那様がゆっくり休むようにと仰っていました、とまだ名前を覚えていないメイドから伝えられとても恥ずかしい思いをしてしまいました。


 もう少し横になっていたかったけれど、ベッドメイクされたベッドに戻る気にはなれなくて私は着替えて食事を頼みました。

 部屋に運び込まれた食事が美味しくて、二人で食べたかったと残念に思いました。

 

 話ができるようなら屋敷の説明をしておきたいと執事のサースに言われ、大人しく享受(きょうじゅ)していました。


 特に特別なことはないけれど、旦那様は表立ってしているお仕事と、人には言ってはいけないお仕事があるので気をつけるよう言われました。

 言葉を曖昧にされていらっしゃる時は人には言えない仕事の時なので気持ちよく、いってらっしゃいませ。と言って送り出すように言われました。


 そのようなことは婚前に聞いていなかったのでいろいろ質問しましたが、何も答えられません。とサースに言われて相手にされませんでした。


 旦那様は大変お忙しいようで家に帰ってこられるのも1週間のうち半分あるかどうかも分からないと言われてしまいました。


 今夜は帰ってきてくれるのか気にしている間に時間は経ち、日が暮れてしまいました。

 19時になりサースに、今日は旦那様はお帰りになりますか?と聞くと、遅くなりますが帰ってこられるようですと返事をもらえました。


 中々帰ってこなくて仕方なくベッドに入り、寝入った頃に旦那様はお帰りになったようで、旦那様がベッドに入ってくるなり愛され、言葉もかわさずそのまま眠りに落ちてしまいました。


 翌朝も旦那様は仕事に行かれていて、旦那様の体が心配になってしまいました。

 遅くまでお仕事をして、朝早く出ていかれるなんてよっぽどお仕事が忙しいのだと思いました。

 朝、なるべく早く起きて一緒に食事だけでもしなければと決意しました。


 決意したその夜はお帰りにならず、その次の日もお帰りになりませんでした。


 10日程経ったお昼に旦那様はお帰りになって、嬉しくて纏わり付いていると風呂に入ってこいと言われてしまいました。

 昼間から恥ずかしいと思いましたが、メイド達に浴室に連れて行かれ、体の隅々までピカピカにされてしまいました。


 ベッドで待っていると旦那様がやって来て、何も言わずに私を押し倒しました。

 陽の差す中での出来事に、恥ずかしくてたまりません。


 目が覚めるとまだ陽の明けない時間のようで、旦那様を捜しましたが何処にいらっしゃるのか分かりませんでした。


 旦那様がお帰りになりません。

 サースには連絡があるようなのですが、私には何も教えてくれません。

 教えてくれるのは帰ってくるのか来ないかだけです。

 旦那様は一体何のお仕事をしているのでしょう?


 父は毎日19時には家にいました。

 忙しいと言っているときでも子供の私達が起きている時間に帰ってきて、おやすみのキスをしてくださいました。


 旦那様は本当に何をされているのでしょうか?


 結婚して1ヶ月、旦那様がお帰りになったのは10日だけでした。

 それも、ベッドへ連れ込まれ、終わるといなくなっています。

 まともな会話を交わしていません。

 とても寂しいです。


 3ヶ月が経って妊娠の兆候が現れました。

 サースには直ぐにバレてしまって、私がお伝えしたかったのにサースが旦那様に伝えてしまいました。


 サースから体をいたわるようにと旦那様が仰っていましたと伝えられ、それから旦那様は帰ってこなくなりました。


 お腹が大きくなっても、予定日が過ぎ、いつ生まれてもおかしくはない状態になっても旦那様は帰っては来てくれませんでした。


 生まれた子は男の子でした。

 生まれて直ぐ旦那様が戻られたと聞きましたが、私には会いに来てくださいませんでした。


 生まれた子にはペーデハイスと旦那様に名付けられました。


 私はもう旦那様が帰ってくるのかとサースに聞いたりはしませんでした。


 ペーデハイスが1歳になる頃、旦那様はお帰りになりました。

 またベッドに連れ込まれ、終わると旦那様はいなくなりました。


 それはまた妊娠するまで続きました。

 そして子ができたと分かると、体をいとうようサースに言われ、子が生まれた日にお戻りになり、アリーナと名付けられ、アリーナが1歳になるまで旦那様はお戻りになりませんでした。


 同じことを繰り返し、6人の子供を産んで、子供達は父親の顔を知らない子に育ちました。

 

 来月にはペーデハイスが学園に入学だという時になって、突然、旦那様がお戻りになりました。

 私はまた子をなさねばならないのかとドキドキしてしまいましたが、寝室には現れないまま、旦那様は1週間、毎日帰って来ました。



 私は旦那様はいないものとして扱い、ペーデハイスとアリーナ以外の子供達は、知らない人が家にやってきて怯えていました。

 この家に弟妹を残して学園に行くのは不安なので、祖父の家へ行こうとペーデハイスが言い出しました。

 

 私はサースに尋ねました。

 旦那様は一体いつまで滞在されるのですか?

 子供達が怯えているので早くお仕事に行ってください。

 と、お願いしました。


 サースは酷く驚いた顔をしましたが、私には何に驚いているのか分かりませんでした。


 サースは旦那様に尋ねてくれたようでしたが、私が望むような答えは返ってきませんでした。

 ここは旦那様の家なので旦那様が帰って来るのはあたり前のことだと言われました。



 私は子供達を連れて里帰りしました。

 両親と兄夫婦は大喜びで迎え入れてくれます。

 

 兄夫婦には子ができず、叶うのなら、3番目のチャールトンを養子に迎えたいといつも言っています。

 私も叶えたいと心から思っていましたが、チャールトンが学園に入る頃、本人に尋ねて欲しいと言いました。

 そのためもあるのか、子供達が遊びに来るのを大歓迎してくれます。

 誰か一人くらいは養子に来てくれるかもしれないと思っていそうです。


 ペーデハイスが学園に入学しました。

 一人手が離れただけで寂しくて仕方ありません。


 ある日突然父に、すまなかったと謝られてしまいました。

 話を聞くと、旦那様に懇意にする女性が居ることは知っていたが、ここまで蔑ろにされるとは思いもしなかった。

 旦那様の亡くなられたお父様と親密なお付き合いがあり、死の間際に何度も頼まれ、仕方なくお受けしたのが間違いだったと。

 

 離婚して幸せな生活が出来る相手を探してはどうかと言われましたが、ここに居てもいいなら、子供達が成人するまではこのままでいさせて下さいとお願いしました。

 

 子供達も成人すれば自分の人生を好きに選べるでしょう。

 ただ、長男であるペーデハイスだけは、もしかしたら自分の人生を選べないかもしれないと思っていました。


 子供達には自分の人生は自分で選べるよう勉強をしっかりして、お父様に口出しされる前にさっさと仕事を決めてしまいなさいと言いました。

 成人さえしてしまえば何処にでも行けるからと。

 ペーデハイスは真剣に私の話を聞いていてくれたようで、卒業と同時に宰相様の補佐の方の補佐のお仕事に就いていました。


 サースからは何度も戻るように手紙が届きますが、それ以上のことはしてきません。

 サースが止めているのか、その気がないのかでしょうか。

 旦那様はお仕事にいかれましたか?

 と返事を返しています。


 子供達もこちらの家の方がいいと言っています。

 構ってくれる人が多いですからね。


 アリーナが卒業と同時に結婚を決めてきました。

 父がいる家から嫁に行くかと訊ねると、私には父はいないと言っていました。

 相手の方はとても誠実そうです。

 娘を大事にしなかったらすぐに返してもらうと脅しておきました。

 アリーナの幸せそうな顔が何よりも嬉しかった。


 ペーデハイスも結婚したい相手が出来たと言い、紹介されました。

 ひとつ下の同僚だそうです。

 相手のお嬢さんが一人っ子なのであちらに婿入りすると言いました。

 私は了承し、幸せになって欲しいと言いました。



 サースから帰ってくるよう催促の手紙が、また届きました。

 それ以外は記載されていないので、子供の結婚のことを知らないのかしら?と不思議に思いましたが、サースが私の味方をしてくれている確信を持ちました。

 旦那様はお仕事にいかれましたか?

 といつものように返答しておきました。

 サースが上手くやってくれる事を期待します。



 チャールトンが成人しました。

 本人の希望で兄の養子になりました。

 今は兄に付いて仕事を覚えようと頑張っています。


 4番目のエルグラドがこの子と結婚すると彼女を連れてきました。

 その子は女ばかりの姉妹の真ん中の子でお姉さんがお嫁に行ってしまったので是非婿入りに来て欲しいと言っていました。

 父と私で相手のご両親に会い、婚約が成立しました。

 気が変わったら困るから、卒業したらすぐに結婚させると笑って相手のお父様が仰っていました。


 5番目のメイリカールは、チャールトンと同じように養子になりたいと言っていましたが、この子も卒業と同時にさっさと結婚してしまいました。


 エルグラドとチャールトンの結婚が同時に行われました。

 仲がいい兄弟だったので示し合わせたらしいです。

 同じ結婚記念日ならどちらかが覚えているだろうと笑って教えてくれました。


 6番目のバイセルは2年生で留学し、その国の第3王女様と婚約が成立しました。



 サースからまた、手紙が来ました。

 子供達の結婚も考えなくてはいけないから一度戻れと。

 サースなら知っているでしょうに、きっと旦那様に黙っていてくれているのだと思いました。

 今回もいつものようにお返事をします。

 旦那様はお仕事にいかれましたか?と。



 今はバイセルがあちらで結婚するのを指折り数えて待っている状態です。

 どうかこのまま子供達が無事、あの家から離れて幸せになりますようにと毎日祈ります。



 バイセルから私達家族に結婚式の招待状が届きました。


 馬車が何台も連なってバイセルの元へ向かいます。

 私達の国とは違い、盛大な式が執り行われました。

 兄、ペーデハイス、チャールトン、エルグラドは式が終わると仕事があると言って急いで帰っていきましたが、私達は暫く観光です。



 私は兄に手紙を託しました。

 兄はきっと手ずから旦那様に渡すことでしょう。



 旦那様、子供達も全員結婚しました。

 わたくしはお仕事が入りましたので離婚をお願いいたします。


                        Fin


いかがでしたでしょうか?

明日、旦那様の事情をupいたします。

よろしければそちらも読んでいただけると嬉しいです。

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