表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
羽撃く者達の世界  作者: かなみち のに
第三幕 第二章 冒険の始まり
241/242

冒険の始まり 37

翌日、ルイジアは早朝にウルリカを訪れ

ファイオル・ガンジンガーの協力を得たと伝えると、

彼女は「チィト・ルク」と協力させようと彼をガンジンガーの元へと送る。

「今日の内に下見を済ませておけ。」

シエナとラウラが入った屋敷から近い開けた場所を二人の対面場所にする。

チィト・ルクとファイオル・ガンジンガーには

光の国の連中が集まる事も想定させデニ・スリチェフとヘルツァ・ドレアスが何処から現れ

何処に留まろうとも見付けられる場所を探しておくよう伝えた。

港町カプリでは漁を終えた漁師達が港に集まり顔を合わせていた。

ルイジアはチィトとガンジンガーを引き合わせた後、漁師たちの輪に入り何事かと尋ねる。

「また竜が現れたのか?」

「そうだ。だが今回はいつもと様子が違ってな。」

「漁を終えるとすぐに南に行くのに今日は上を何度かぐるぐると回ってから行った。」

「今までは俺達に見向きもしなかったのに今日は俺達をじっと見ていたような。」

「どのような竜だったか見えたか?」

「よく見えたよ。朝日を浴びて輝いていたなぁ。」

ルイジアは一通りの話しを聞き終えるといつの間にかその輪から姿を消した。

漁師たちも「さっきまでそこに美しい女性がいたよな?」などと口にしている。

竜が「いる」のは間違いない。ルイジアはその足で領主の屋敷を訪れるが

彼女は騎士団長フラン・トトを呼び「明日の事で予定を少し変更する」と伝えた。

ルイジアはラウラに同じことを伝えると予想通りに答えた。

「シエナはがっかりする。」


そして当日、シエナとデメトリオが屋敷を訪れる。

出迎えた光の国の使者が中へと促すと

地下への通路のある部屋とは別の扉が開き、

中からヘルツァ・ドレアスと数名がぞろぞろと現れた。

デニ・スリチェフの姿は無く

「貴方は?」

「私は光の国の代表の一人。竜の子とはお前か。」

その言葉に、シエナの隣のデメトリオが一瞬で剣を抜き喉元へ。

「口の聞き方に気をつけろ。先日の者は何処だ。」

「待て。待ってくれ。奴なら、スリチェフなら広場で待っている。」

「私はお前に、いや貴殿に挨拶しておくよう言われたのだ。」

慌てるドレアスに

「挨拶?私に協力するか、それとも敵対するか決まった?」

シエナは少し苛立っているように言った。

理由は判らないがウルリカからそうしろと言われた。

「協力はする。いや、したいと考えている。」

「約束通り皆を集めた。本物だと言うならその力を見せろ。」

シエナはデメトリオに剣を下げさせ

「いいでしょう。」

シエナはデメトリオを従え広場に向かう。

そこでは同じ格好をした多くの者が集まっていた。

50人くらい?もっとだろうか。思ったより多い。大丈夫かな。

シエナはドレアスに向かい

「あの人達は端に集めて。巻き込まれたくなければ決して動かないように言いなさい。」

「おい。」とドレアフは数人を走らせそれを伝えさせる。

するとその輪が少し開き、中からデニ・スリチェフと共にラウラが現れる。

「あれは?」

シエナがドレアスに尋ねると

「あれは光の御使いを名乗る者。竜を退治したと吹聴している不届者だ。」

ドレアスがラウラの顔も見ずに言うのでシエナは笑いそうになってしまう。

同様にラウラはスリチェフにシエナを尋ねると「あれが竜の子です」と言われる。

「周囲の住民は避難させている。本物の竜の子であると言うならその力を見せてくれ。」

「光の御使様。あの者を退治し我らを使者としてお認めください。」

シエナがちらりとデメトリオを見ると彼は黙って頷く。

シエナは一人広場の中央へと進む。

ラウラもそれに合わせるよう歩く。

小さな声が届く距離まで近寄る。

「どの建物から壊そうか。」

「まあ待ちなさい。ルイジア様から伝言よ。」

ラウラはそれを伝える。

ヘルツァ・ドレアスもデニ・スリチェフもその声は聞こえない。

「何を話している」「とっとと始めろ」とそれぞれ呟いている。

ラウラのルイジアからの伝言を聞き終えるとシエナは少しだけがっかりしたような顔をするが

「貴方と私で壊したら弁償しろって言われるからって。」

「そうかも知れないけど。」」

「それに、私達が暴れたら後々面倒な事になるって。」

「せっかく思いっきり剣が振れると思ったのに。」


二人の会話は最初から計画されていた。

スリチェフとドレアスが領主に命じたのは

「騎士達を使って広場周辺の住民の避難」ではなく、

ラウラとシエナの両者、もしくは勝者を確保する場合に備えての配置である。

ウルリカは騎士達が広場を囲むこの状況を利用したに過ぎない。

問題はスリチェフとドレアスの身体。

予想に反して二人は姿を見せた。

用心深いとは言え、さすがに幼い娘の力をその目で見たかったのだろう。

シエナとラウラの会話の目的の1つは

スリチェフとドレアスを監視する役目の二人に猶予を与えるため。

シエナとラウラは、それぞれの肩越しに、彼らの後ろに

チィト・ルクとファイオル・ガンジンガーの姿を見る。

当初の計画では、シエナとラウラが実際に戦い、

その隙に光の国の者達を騎士達か包囲する。予定だった。

ウルリカのシエナへの頼み事は「カプリに現れた竜が青銅の竜か」の確認であり、

ルイジアが港で聞いた話しから間違いないと判断し急遽計画を変更した。

もう1つ、会話の目的は、

広場の周囲から、街の住民を広場に集める事にある。

夜の内に避難させた住民達をまとめて広場に連れてくる。

光の国の光の使者が集まる場所と重ならないよう、数名の騎士が誘導するための時間稼ぎ。

同時に、その流れで騎士達が光の使者達を囲う。

「もういいでしょう。」

「一度くらい剣を振っても。」

「駄目よ。駄目。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ