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たった一人の《大罪人》〜唯一無二の天職で世界最強に〜  作者: 白崎 仁
第一章 自分だけの力
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最悪で最強



それから俺はルシファーたちに力の使い方を一通り教えてもらった。その力はどれも強力なものばかりで、使いこなせれば世界最強になるのも夢じゃないほどだった。


「ーーー最後に、この力をどう使うかは君次第だよ。君がどんな選択をしようが、僕らは干渉しない。有意義に使ってくれよ」


「ああ、もちろんだ」


俺は既にどう使うかは決めている。あのクズからディアナを救い出す。そのために決闘であいつを倒す。それからはどうとでもなるだろう。


そう考えていると、俺はいつの間にか薄暗い牢獄へと戻っていた。決戦の日は明日だ。


明日に備えて、俺は眠りについた。



翌日、いつもと変わらぬ朝を迎えた。石畳の上で起き、パサパサのパンと牛乳を食べて、また石畳の上へ寝転ぶ。


だが、今日はいつもと一つ違う。いつもはあいつが来るのが嫌だったが、今日はあいつが来るのを待ちわびている。早く来ないか、まだ来ないのかと、心が訴えかけている。


少し経つと、いつも通りやってきた。


「やあやあ、調子はどうかな?もうここに来て長くなるけど、この生活も慣れたみたいだね」


いつものヘラヘラした態度で話しかけてくる。俺は無言で奴の顔を見つめる。


「おい、何か文句でもあんのか?そんな目で見てんじゃねーよ!・・・殺すぞ?」


俺はその言葉を聞き、鼻で笑った。


「あ?」


「いや、悪い。何だかおかしくてな。笑っちまったよ」


「何がおかしいんだよ。言ってみろ」


「人を殺したこともない癖に殺すとか言ってんじゃねーよ。調子に乗るなよ、ガキが」


「今なんて言った?」


「ガキだ、バーカ」


奴は無言で牢の扉を開けた。


「ちょっ、困りますよ、かってにそんなことをされたら」


「おい、誰に向かって口聞いてんだ?」


「ひっ、も、申し訳ありません」


「ちっ、ついて来い」


俺は奴の後ろをついていく。


「ここでお前をぶちのめしてやるよ」


そこはラスランド家にある闘技場だった。


(この場所まで来る必要はあったのか?)


「ここで待ってろ」


そう言って、ベガーはどこかに行った。

戻ってきた時、ベガーはボロボロの鉄剣を持っていた。


「お前にはこれで十分だろう。さあ、剣を持て」


ベガーは自分の腰に携えた剣を引き抜く。


「いくぞ!」


ベガーは正面から突っ込んでくる。その動きはあまりにも遅かった。


「くらえぇぇぇ!!!」


ベガーの剣が光り輝き、俺へとまっすぐ振り落とされる。


俺は軽々と横に避けて、ベガーの右腕を斬る。だが、その攻撃は何かに弾き返された。


「はっはっは!かかったな!!」


どうやらベガーは身体中に鎧をつけていたらしい。


(この剣に対して、そんな装甲はいらないだろ)


ベガーはもう一度《聖騎士》の能力を発動して、光り輝く剣で俺に斬りかかる。


その瞬間、俺は一人の悪魔の能力を発動する。


強欲(グリード)


すると、ベガーの剣は光を失い、普通の剣へと戻った。


「なっ!?」


俺が発動したのはマモンの能力『強欲(グリード)』。この能力は「相手の持っているものを何でも奪うことができる能力」だ。ただし持続時間があり、最長で24時間までなら効果は発動している。


今、俺が奪ったのはベガーの天職《聖騎士》の力。これで24時間以内なら俺は《聖騎士》の能力を使うことができる。


「終わりだ、ベガー」


俺は光り輝くボロボロの剣を高々と振り上げる。たとえボロボロでも《聖騎士》の力で強化されているので、相当なダメージを与えることができる。


「や、やめろ、やめてくれぇぇー!!!」


「・・・死ね」


俺は剣をベガーへと振り下ろす。その剣はベガーのすぐ横の地面に突き刺さった。


「ディアナを返せ・・・!!」


「な、何を言って」


俺は再度地面を斬りつけ、無言でベガーを睨む。


「わ、分かった」


ベガーはそう言って、どこかへ消えた。

俺は剣を鞘へと戻し、静かに天を仰いだ。



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