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たった一人の《大罪人》〜唯一無二の天職で世界最強に〜  作者: 白崎 仁
第一章 自分だけの力
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天職鑑定

翌日、俺は教会に向かった。


天職鑑定は教会で行われる。教会にいる神官様がその年で15歳になる少年少女の天職を一人一人鑑定する。


天職とは神様より与えられし使命だとか、特別な贈り物とか言われている。だが、実際のところ天職によって様々な力が使えるようになるというだけだ。


その天職の中でも上位または希少なものを神職(レグル)と言い、神職を持つ者は何かと優遇されるのだ。



教会に行くと、そこには既にディアナとベガーの姿があった。今すぐ助けたいが、ひとまずは天職鑑定が先だ。天職の力は鑑定されないと使うことが出来ない。


俺は自分の番を待った。幸い、人数はそれほど多くないので俺の番は早く来そうだった。


「次の方、どうぞ」


次はベガーの番だ。

あいつのことだ。どうせよくある天職だろう。


「ふむふむ、これはすごいな。君の天職は《聖騎士》だ」


「はっはっは!さすが僕だ!!」


なんだと!?《聖騎士》といえば神職の一つじゃないか。しかも《聖騎士》を持つ者は王宮騎士団への所属が確約されるという。


なんであいつなんかが...。いや、俺も神職を出せばいいだけの話だ。あいつに来て、俺に来ないはずがない。


そうこう考えていたら、次はディアナの番になっていた。


「ふむ、君の天職は《白魔術師》だね」


《白魔術師》か。魔法を使う魔術師の中でも、光魔法を得意とする天職だ。光魔法は回復魔法も使えたりする。ディアナにぴったりの天職だな。


「次の方、どうぞ」


ようやく俺の番だ。何か強い力が使える天職がくれば...。


「ふむふむ、君の天職は、、、。ん?なんだこれ?」


なんだ。勿体ぶらずに教えてくれ。


「え、どうしたんですか?」


「私が全く聞いたことがない天職が出たんだ」


「...なんですか?」


「君の天職は《大罪人》だ」


《大罪人》?なんだ、その天職は。


「長年神官を勤める私ですら全然知らない天職だ。よほど希少なものなのだろう」


なんか名前的にいい感じはしないんだが。


「お前、《大罪人》って。あははは!!いい天職じゃないか!!あっはっはっは!!!!」


ベガーは大声で馬鹿にしてきた。とても腹が立ったが、ベガーが俺を馬鹿にするためにディアナから離れていることに気がついた。


(これは、チャンスだっっ!!)


俺は勢いよく走り出し、ディアナの手を掴んで逃げようとした。


「行くぞ!ディアナ!」


ディアナは一瞬笑みを浮かべて歩き出そうとする。

だが、


「おい!ディアナ!そんなことして、どうなるか分かっているのか?」


ベガーの言葉を聞いた瞬間、ディアナは足を止めて、


「ごめんね、シン君。一緒には行けないや」


ディアナは目に涙を浮かべながらそう言った。

そして俺の手を振りほどく。


「人の婚約者を奪おうとする不届きものめ!やはりお前は天職通り、《大罪人》だなっ!《聖騎士》の天職を授かった僕が成敗してやろう!!」


ベガーはそう言うと、腰に携えた剣を抜いた。そして、その剣を構えると、剣は白く光り出した。あいつは俺に対して《聖騎士》の能力を使おうとしてるみたいだ。


自分の天職の能力は鑑定が終わった瞬間に自分の頭に流れてくると聞いた。ベガーも能力の使い方は分かっているのだろう。


俺も必死に対抗策を探すが、能力について考えようとすると、頭に靄がかかったみたいになり、自分の能力が分からないのだ。


そうこうしていると、奴の剣が俺に向かって振り下ろされた。俺は咄嗟に両手を交差させ防御するが、その甲斐虚しく、奴の剣が俺の首筋に直撃した。


「がはっっ!!」


その衝撃で俺は気を失った。俺はベガーに負けたのだ。



次に目を覚ました時、俺は冷たい石畳の上で寝ていた。


よく周りを見ると、そこは牢屋の中ということが分かった。おそらくラスランド家の地下牢だろう。


俺は何一つ出来なかった。ディアナを連れて逃げることも出来ず、ベガーには圧倒的な力を見せつけられた。


俺がそう考えていると、


「おやおや、お目覚めかい?罪人君」


「...ベガー」


「いやー、僕も悲しいんだよ。昔からの友人がこんな奴だったとは。もっと早く気づいていればなー」


「てめぇッッ!!」


俺は殴りかかろうとするが、檻に阻まれ奴には届かない。


「おいおい、お前は自分の立場を分かっているのか?お前は罪人なんだぞ?分かったら大人しくしてろ!」


そう言って、奴は戻っていった。


俺は石畳を殴りつける。どうしようもない怒りで頭がいっぱいだった。


(俺にもっと力があれば...)


俺はただうなだれるしかなかった。




それからというもの、俺は最低限の食事しか与えられず、布団もない牢屋で日々を過ごした。


日に日に気力もなくなり、ただただ時間だけが流れていった。


(俺は何をしてるんだろう、、、)



時折、ディアナのことを思い出す。俺は助けられなかった。何も出来なかった。あの涙のことを考えると、再び頭の中が怒りでいっぱいになった。


(悔しいッッ!!なぜ俺には力がない!あの子を助けられる力が!あいつを倒せる力が!!)


『力ならあるよ』


どこかからそんな声が聞こえた。



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