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たった一人の《大罪人》〜唯一無二の天職で世界最強に〜  作者: 白崎 仁
第二章 解呪の宝石
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グランドバルク大迷宮



 俺とローザはグランドバルク大迷宮の第100層に来ていた。この迷宮は第250層まであり、剛竜ヘリオンは第170層あたりに出没する。


「結構深くなったな」


「ええ、でもまだまだあるわよ。そろそろ出没する魔物も強くなってくるし気をつけないと」


 この迷宮は第200層まで攻略されている。そこからは未知数だが、Sランクの試験ではそんなところまでは行かない。というか行ったところで帰ってこれない。普通の人間にはそこの魔物には勝てないと言われているからだ。


「まあ、その辺は心配しなくていい。俺が探知できるから…っと、噂をすれば見つかったぞ。そこの角の先だ」


 そう言って俺は次の十字路の曲がり角を指す。その先にそこそこ強めの魔物がいる。倒せなくはないが、出来るだけ体力は温存しておきたい。


「俺の近くに来てくれ。バレないようにする」


「わ、分かったわ」


 ローザは俺のそばに寄ってくる。そして俺は能力で認識阻害をかける。これは人間だけでなく魔物にも有効だ。実に使い勝手がいい。


「ハイドの能力って本当に便利よね。何の天職なの?」


「俺の天職は『大罪人』だ。聞いたことないだろ?」


「そうね…。うーん、どこかで聞いたことがある気がするんだけど思い出せないわ。でも、すごい能力を使えるのね」


「ああ、とても使い勝手がよくて気に入っている。…まあ、うるさいのは頂けないがな」


「ん?最後なんて言ったの?」


「いや気にしないでくれ」


「そう?なら、いいわ」


 こうして俺たちはどんどんと先へ進んでいった。



「ふー、とうとう170層に到達したわね。情報ではここら辺に出るらしいけど」


「反応はないな。もう少し進んでみるか」


 170層までは魔物は強くなっているものの、すでに攻略されているので、次の階層までのルートが分かり、スムーズに進むことが出来た。


「なー、ヘリオンってどんな見た目だったっけ?」


「なんで知らないのよ。討伐目標の情報は全て集めるのが常識でしょ?」


「悪い悪い、今度は気をつけるよ」


「本当に分かってるのかしらね。まあ、いいわ。ヘリオンは四足歩行の竜よ。翼は生えてるけど、ほぼ使わないみたいね。あと、全身黒っぽい色をしてるみたいよ」


「なるほどな、大体イメージがついたよ。ありがとな」


「ええ、どういたしまして」


 そんな会話をしていると、奥から猛スピードで何かが接近していることに気付いた。


「ちょっと待った。何かがこっちに来てる」


 そして俺はその魔物の後ろから別の魔物が接近していることにも気付いた。どうやら魔物が魔物を追いかけているみたいなのだ。


「静かに!あの岩陰に隠れて!」


「え、ええ、分かったわ」


 俺は近くの岩を指差す。ローザは突然のことで驚いているようだが、ちゃんと従ってくれた。



「急にどうしたの?」


 ローザは小声で聞いてきた。俺も小声で答える。


「魔物が二体猛スピードで動いている。おそらく前の魔物は後ろの魔物から逃げているんだ。ここは170層だ。ということは後ろの魔物はとても強いんだろう。今は挑戦するべきではないと思う」


「なるほど…。たしかにそうね。じゃあ、ここに隠れたのは様子見のためかしら?」


「ああ、そうだ。っと、もうすぐ来るぞ」


 そうして待っていると、一体の魔物が空から落ちてきた。その魔物は全身が黒っぽくて四足歩行で翼を生やしている。


「おいおい、こいつはまさか…」


 そう、追いかけられていたのは討伐目標の「剛竜ヘリオン」だった。ということは、後ろの魔物はこいつよりも強いということになる。


(これは少し厳しいか…)


 そう考えていると、追いかけていた魔物が降りてきた。そいつはヘリオンと同じく竜だった。だが、俺はそいつを見たことなかった。その光景を見ていたローザは開いた口が塞がらないくらい驚いていた。


「どうした、ローザ?」


「な、なんでこんなところにいるの…?」


「あの竜を知っているのか?」


「知ってるも何も、あいつはこの世で一番強いと言われている古龍の内の一体よ!」


 どうやら俺たちはとんでもないものに遭遇してしまったらしい。

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