2-11 戦闘の試算
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打ち合わせが終わったのは一時間と少し後だった。太陽は完全に落ち、空の色は黒へと変わっている。
ローストチキンが絶品だったディナーを食べた後、京香達は気象塔の中腹部にある居住用スペースに通され、各々の個室で待機していた。
部屋分けは、京香と霊幻、ヤマダとセバスチャン、マイケル、恭介とホムラとココミの四つである。部屋は広く、風呂が付いていて、人間とキョンシー全員分のベッドと机が完備されていた。
「おお、良い部屋ね」
「そうだな。さて、吾輩はパトロールに行ってくる」
「待て。行くな。大人しくして」
ズシッと重いトレンチコートを椅子に掛け、京香は奥のベッドに仰向けにダイブする。
「ああ~、つっかれた~。あんな交渉アタシに向いてないのよ」
「撲滅のためだ。向き不向きは問題ではない。やるかできるのかだ」
当初の予定通り、まずココミのテレパシーで二代目アネモイを完成させることに成った。この作業にどれくらいの時間がかかるのかはまだ分かっていないが、マイケル曰く「まあ、大体一週間くらいじゃないか?」とのことだ。
そして、二代目アネモイが正常に起動し、想定通りのエアロキネシスを発現した事を確認でき次第、初代アネモネを破壊する。
京香は気乗りしなかった。キョンシーが壊れる姿をあまり見たくないのだ。
「ねえ、霊幻。アネモネを破壊せずに済む方法ってあるかしら?」
「あったとして、京香、お前が取れる選択肢ではないと推測されるな」
「そうねぇ。その通りだわ」
京香にできるのは戦うことくらいだ。ならば、この思考には意味が無い。
だけど無駄な思考を続けてしまう。寝転がっていたベッドはフワフワでとても気持ちが良かった。
「……ふぁ」
小さな欠伸の音が口から出た。
──結構疲れてるわね。
海外に来たのは京香にとって初めてである。時差のズレ、長時間のフライト、昼間の戦闘、その他諸々。想像以上に疲れているらしい。
それらを意識した途端に眠気が京香の瞳を襲う。
「ん? 京香よ、眠るのか?」
「いや、お風呂入りたい。そしたら寝るわ」
このまま横に成っていたら確実に寝落ちする。完全に頭がスリープモードに入る前に風呂に入ることにした。
よいしょ、とベッドから起き上がり、パッパッパっと服を脱ぐ。下着姿に成るが京香は気にしない。この部屋には霊幻しか居ないのだ。今更恥ずかしがる相手ではない。
クローゼットに向かい、着替えの下着を出して置き、部屋備え付けの浴室へと入る。
「おお~」
京香の部屋セセラギ荘202号室よりも広い浴室だった。掃除が行き届いており、何というか高級感がある。風呂釜の深さはヨーロッパ式で何というかつるんと少し浅いが、これはこれで新鮮である。
「え~とお湯は」
壁のスイッチを押すと、すぐに風呂釜に湯が張った。
そうして、京香は多少テンション高めに入浴し、歯を磨き、ベッドに潜って瞳を閉じた。
現地時刻は未だ午後九時。持って来た携帯ゲーム機で遊ぶのも良かったが、眠気には勝てなかった。
「それじゃ、霊幻おやすみ。大人しくアタシの傍に居なさいね」
「了解。おやすみだ、京香」
ピッ。部屋の明かりが消え、ほどなくして京香の意識は闇に落ち、寝息を立てた。




