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2-01 とある天気の日

第二部開始です。

テーマは「天気」です。

 ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー。


 雨が降っていた。土砂降りの雨だ。雨のカーテンがある町を覆い隠していた。

 三歩先も満足に見えない程の激烈な雨。まるで、神様が水遊びをしている様だ。


 あまりにも強い雨だったから、外に出ようと言う人間は居なかった。

 そんな場所にキョンシーが立っていた。そのキョンシーは小麦色のレインコートを着ていた。


 ボタボタボタボタ。ボタボタボタボタ。ボタボタボタボタ。ボタボタボタボタ。


 目深に被ったレインコートのフードにビー玉の様な雨粒が落ちる。

 キョンシーの首は少しだけ空へと傾いていて、遠くの空を見つめている様だった。


 両手を広げて、レインコート越しの腕にボタボタボタボタと大雨粒が落ちる。

 良い音だと、キョンシーは思考した。恵みの雨だ。この雨粒が人民達を生かすだろう。


 雨の中、キョンシーはただ一体だった。寄り添う人間は居らず、他のキョンシーも居ない。

 孤独とも、孤高とも、孤立とも、どうとでも取れる姿をそのキョンシーはしていた。

 寂しさをキョンシーは感じなかった。これが自分の機能であり、何百何千と繰り返してきた自分の在り方だった。


 ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー。


 聞き慣れた筈の雨音へキョンシーの感情が揺れた。滅多な事では無い様な、小躍りをしたくなる様な、それでいて、当たり前の物の様な、色々な感傷が入り混じっている。

 キョンシーは自分にエラーが起きている事を自覚していた。何かがおかしくなっている。それはどうしようもなくて、いつか必ず起きてしまうエラーなのだとも理解していた。


 そして、ふとキョンシーの中でエラーが消えた。

 キョンシーは広げた手を空へと向け、その額の蘇生符が黄緑色に輝いた。

 輝きが雨粒に反射して、宝石の様な煌めきが周囲を包む。


 ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー、ザー。


 雨はその勢いを加速的に弱め、その姿を消す。

 すぐに空はただの曇り模様となり、遂にはその雲に切れ間が生まれた。

 天使の梯子が降り、暖かな陽光にキョンシーは眼を細める。


「……良い天気」


 そう呟いて、キョンシーはまたしばらくそこで立っていた。

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