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1-37 大爆発

「素晴らしい! 何をしたいのか全くもって分からないが、お前の言葉を聞くとしよう!」


 霊幻は無条件に関口の言葉を信じた。

 バチバチバチバチバチ! 腕と脚に纏う紫電の勢いを今一度強くする。

 紫電は旋風に絡め取られ、カウンターが飛んで来るが知った事では無い。

 帯電しているのであれば、それは霊幻の操作対象だ。


 ビュオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!


 紫色に輝く竜巻を、霊幻は部屋中に紫電を放ちスポットとする事で無理矢理操作する。


「……」


 コチョウが片眉をピクッと少しだけ動かした。

 エレクトロキネシスとエアロキネシスの間で竜巻の操作権の取り合いが始まる!


「ハッハッハ! やはり分が悪いな!」


 間接的に竜巻を操作しようとしている霊幻では、純粋に空気分子を操れるコチョウの土俵で力比べをするのは悪手だ。


 ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!

 ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!

 ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!


 それを見たのか見ていないのか、関口の爆弾がひたすらに投げ込まれ、コチョウの竜巻とテレキネシストの力球と激突し爆発する。

 意思を持った大蛇や竜の様だった竜巻達の連携に一瞬の綻びが生まれた。


「開いたぞ!」


 その僅かに開いた隙間を霊幻は見逃さない。

 ビリビリビリビリビリビリ! グン! クーロン引力と斥力を高速で切り替えて、さながらリニアモーターカーの様に霊幻の体は急加速して風の迷路の隙間へと突撃する。

 コチョウはすぐさま腕を羽ばたかせ前方に竜巻を生むが、勢いは未だ育ち切っておらず霊幻が打ち破れるほどのサイズだ。


 捩じ切られそうな力のベクトルが霊幻の体のあちこちを走り回った。

 しかし、霊幻は全身を鋼鉄へ置き換えている。合成皮膚を剥がす程度に留まった。

 バァン! とうとう霊幻は風の壁を打ち破り、前方ニメートル先までコチョウに迫る。


「ハハハハハハハ! 撲滅だ!」


 バチバチバチバチバチバチバチ! 額の蘇生符が一際強く発光する。

 チャージ完了まで後コンマ五秒。霊幻の口が三日月形に歪んだ。


「良くやった気狂い」


 その時、関口の笑い声が聞こえた。

 霊幻は気付いた。いつのまにか自分とコチョウの眼下に、関口が連れて来たエレクトロキネシストの内の一体が立っていたのだ。

 コチョウの風、霊幻の紫電、テレキネシストの力球、そして関口の二色爆弾。それらの余波を受けたそのキョンシーの体は酷い有様だった。顔面の半分が抉れ、脚が上下左右逆さまに捩じれ、ギリギリで股関節と繋がっている始末である。

 だが、そのキョンシーは両腕で赤と緑のエアロボムを溢れんばかりに抱えていた。


 霊幻は眼を見開く。これは流石に拙い。自分でさえ壊れる可能性があった。

 即座にコチョウに放たんと溜めていた紫電を全身に纏わせ、この場から離れることに使う

 グン! 方向は考えなかった。眼下のエレクトロキネシストのキョンシーと離れられればそれで良い。


「ぶっ飛べ!」


 関口の号令と共に、エレクトロキネシストが抱えていたエアロボムとフレアボム全てが爆発した!


***


「シャルロット、盾に成れ!」


 ガチャガチャガチャガチャガチャガチャ!

 ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!


 シャルロットの変形が完了したのと、関口の二色爆弾を抱えたキョンシーが爆発したのは全くの同時。

 強烈な爆熱と爆風が球形に広がり、人間では避け切れない速度で京香へと向かってくる。


「ぐっ!」


 半透明で薔薇状の盾が、風圧で半球状に歪む。京香の左腕が軋み、両脚の筋繊維が悲鳴を上げた。


──あ、こりゃ駄目だ。


 京香は抵抗を止める。踏ん張りを止め、後方へ、即ち研究棟一階東側に開いた大穴へとジャンプした。

 放物線を描きながら京香はシャルロットを下にしてコンクリートの地面へ落下し、ガリガリガリと火花を生みながら停止する。


「シャルロット、小さくなって」


 キュイン! 体を覆うほど大きく広げていたシャルロットを腕の大きさにまで折り畳み、京香はふらつきながら立ち上がる。

 キィーンとした耳鳴りが鳴る。幸い視覚には異常が無い。京香はトレーシーを右手に、研究棟へと再び近付いた。


 中からは先程まで響いていた戦闘音が無く、シンとした空気が流れていた。

 灰色の煙が酷く、一階の様子を京香はまだ掴む事ができない。


「霊幻、居たらこっちに来なさい」


 京香の相棒は爆心地の近くに居た。爆発を避けようとしていた所までは見ていたが、その後どうなったのかまでは分からない。


「ハハハハハ! 京香、お前も無事だったか!」


──良し。生きてる。


 ビリビリビリビリ! 紫電と声に京香は一先ず安心する。最悪の事態は避けられた様だ。

 ドスンと京香の左隣に霊幻は着地し、その姿を見せた。


「……結構、壊れたわね」

「なぁに深刻なのは精々左腕くらいだ」


 左腕にダメージを集めたのだろう。肘から先のパーツが無くなり、左頬から首元まで金属部分が見えていて、左脚は半分削がれていた。


「……アンタを修理できる設備近くに無いわ」

「問題ない。吾輩達のエンジニアを取り返せば良いのだ」


 これ以上は言わず京香は一階の部屋へ視線を戻す。煙は大分晴れて来ていた。


「京香、あそこだ。南側の壁際」


 霊幻の言葉に京香は右手で指された場所を見る。そして、京香は見つけた。


「……」

「よう、コチョウ、眼は覚めたか?」


 頭と首と肩と腕。たったそれだけに成ったコチョウを関口が見下ろしていた。

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