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④ 牙を出す




***




「……居るな」


 まさか、と男は思い、すぐに、やはりと思い直した。


 視線をなるべく送らない様に、それでも視界に入ったそれらへ意識を向ける。


「ねえ、あれ?」


「眼、向けるなよ。気付かれたら困るからな」


 横の女が小さく耳打ちする。彼女も視界に映る異常に気付いた様だ。


 男達が住んでいた国から遠く離れたゴルデッドシティ。そこに本来は居るはずが無いハカモリの人間達が居た。


 何故、彼女達がここに居るのか。理由は違うが、原因は男達と同じだろう。


 ハカモリもまたモーバが今回のキョンシーサミットを狙っているという情報を掴んだのだ。


――……使えるな。


 ギラギラと男は眼を見開く。


 きっと、いや、間違なく、ハカモリとモーバは激突するだろう。


 そこに起きる狂乱。目的を達成するのに都合が良かった。


 男と女は復讐者だった。家族、仲間、夢、その全てを不当に奪われた被害者である。


 復讐を遂げられるのなら死んでも構わない。男にはそういう覚悟があった。


「早く帰ろ。準備しなきゃ」


「ああ、ああ、そうだな。やることがいっぱいだぜ」


 男の唇が釣り上がり、犬歯が空気に晒される。


 復讐の始まりは直ぐそこだ。

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