ラブコメ主人公と超能力
私立八重樫学園
俺、邪答院勇太が今日から3年間通うことになる高校だ。
俺がこの高校を選んだのにはいくつか理由があるのだがその中での一番の理由は…………普通だから!
学校の偏差値上の下!校舎普通!先生普通!
この学校は普通だらけなのだ。え?なんでそんなに普通にこだわるのかって?
それは俺の小学生の頃からの夢である、ラブコメ主人公のような高校生活を送るためだ!
小学生のころ、俺がなんとなくで見てみたラブコメは言葉にできないほど面白かった。
その時こう思ったのだ。―こんな高校生活を送りたい!―と。
そしてそれからはラブコメのアニメや漫画をひたすらみて、主人公のようになるにはどのようにすればいいのか、どうやったら美少女だらけのハーレムを築けるのか、などをとにかく研究し、美人で有名の同級生の志望校を友達の友達を使って聞き出し、一番集まる可能性が高い高校を推測し、そこを受験したのだ。
その結果、やはり事前の研究データと同じくラブコメのヒロイン候補の人は普通の高校に来ていた。…………まぁ、普通の高校といっているが偏差値はそこそこ高いので少し苦労もした
とにかく俺がこの高校に受かることができた!これで下準備クリアだ。
しかし、問題はここからだ。今からクラス発表があるのだが、美少女たちと同じクラスにならなければならない。ここは完全なる運任せだ。頼む!ここで来てくれなきゃラブコメ主人公の夢は一番望んでいるようにはならない!今年クラスで同じにならなければ部活でのルートか、二年になってからになってしまう!こい!こい!こ・・・
**30分後**
「えー、このクラスの担任になった高橋だ。これから一年よろしく頼む。」
き、き、きたぁぁぁぁ!!!!!!俺が調べあげた美少女全員と同じクラスだぁぁあ!!!
しかし、喜んでいる暇はない。第1段階へ進まなければ。
第1段階、まずは妙に情報通の友達が必要だ。こういう時は俺の一個前の席にそういう奴がいるんだが大丈夫だろうか。よし、話しかけてみるか
「yよ……」
待てよ?こういう時は自分から話しかけたらいけないんだった。自分から話しかけたら脇役になるケースが高い。これは待つべきだ。果報は寝て待て、だ。
「……」
「……」
「……」
「……」
「なぁ!俺、柏木哲也だ。お前は?」
やっっっときた!なんなの?シャイなの?まぁいい、ここで返すべき言葉は
「俺は邪答院勇太だ。よろしくな!」
「おう!ところでさ邪答院、このクラスめちゃ可愛い子がめちゃくちゃいるよな。ラッキーだよな!」
お?こいつなかなか見所あるじゃないか、この話題を後ろの席のやつに言うのはなかなかいい
「そうだな」
ここは話を深くしないことがポイントだた。そしたら・・・・・
「なぁ、今日入学式だから午前しか学校ねぇよな。帰りにクラスのみんなでマック行かね?」
きたぞきたぞ!クラスのみんなでどっか行くイベント!だがここは
「悪い!今日はちょっと予定があって・・・」
「そうかぁ残念だな、また次行く時はこいよ?」
「おう、悪いな」
クククッ!もちろん予定などありゃしないさ!クラスで一人だけこないことで美少女たちの脳内に邪答院勇太という存在を認識させる。まずはここからだ。
「じゃあ俺帰るわ。また明日な、柏木」
「あぁ!じゃあな!」
(ふぅー、やっと第1段階クリアだ。次はメインヒロインを決めないとな。誰にしようか、まぁそれは明日考えればいいか。)
「ただいま、姉さん。」
「おかえり、勇。話さなければいけないことがあるからちょっときてもらえる?」
「え?いいけど。」
なんだろう改まって
「今日のお昼の12時、つまり三十分後に勇に超能力が覚醒します。」
「ん?」
「・・・超能力が覚醒します!」
「・・・・・・は?」
何を言っているんだ?俺と一つしか変わらないはずなのにもうボケたのか?いや、わかったぞ、姉さんはきっと疲れているんだ。
「姉さん、今までごめんね。そんなに姉さんのこと疲れさせていたんだね。これからはおr…」
「疲れてないよ!?いや疲れてるんだけど、疲れてないよ!」
疲れてるけど疲れてないってなんだよ…めちゃくちゃ矛盾しているじゃねぇか。
「いい?今から言うことは全部本当のことだからちゃんと聞いてね」
「わ、わかった」
「実は昔から邪答院家は代々超能力が目醒めているのよ。」
「へ、へぇ〜……」
「信じてないでしょ?」
「うん」
「本当のことだって」
「じゃあ言わせてもらうけど、なんで今日の正午に俺に超能力が覚醒するの?てかなんでそれをいま俺に言ったの?」
「前者は邪答院家が超能力が覚醒するのは高校生になった日の正午だから。後者は……」
姉さんは少し戸惑っていたがやがて口を開いた
「私はこのこと10年前のあの日に母さんから聞いたんだけどね、その時に母さんが勇にはギリギリまで教えないでいたいって言ってたから」
10年前のあの日……か
「母さん…」
「まぁ、そういうことよ」
「わかった、信じるよ」
「そう、よかった。……超能力が目醒めたら一つ注意しないといけないことがあるの。」
「注意しないといけないこと?」
「そう。実は超能力が代々目醒めているのは邪答院家だけではなくてあといくつかあるの。そして超能力を持つ家は「ハイズ」と呼ばれているわ。ハイズは「結城家」「野ざらし家」「獅子王家」「降魔家」「傳家」「東雲家」「邪答院家」の七つで各家の代表がちょくちょくあっているんだけど昔、その七つの家で少し揉め事があってそれで超能力を持つ家でどこかリーダーの家を決めようって話になったらしくてその争いが今も続いているのよ。」
「そうなんだ……」
「姉さん、超能力ってどんな能力なの?」
「それは人それぞれよ。当たりの能力もあればはずれもあるわ、超能力は覚醒したその瞬間にどんな能力なのかが頭の中で再生されてわかるはずだからじきにわかるよ」
「わかった……」
よっしゃゃゃゃ!!!!!超能力があればラブコメ的展開にするのが簡単になる。どんな能力だろう。心の声が聞こえる能力だったら最高だよなぁ、超能力を持つ家のリーダーの役目は将来の俺の息子とかに任せよう!どんな能力だろうが逃げればなんとかなるだろう。あはははははは!あ、そういえば
「そういえば聞いてなかったけど姉さんの能力って何?」
「私の能力は記憶操作。あらゆる物の記憶を操ることができる能力。」
「へぇー、それって俺に使ったことないよね?」
「え!?えっっと……」
「使ったことあるの!?」
「……」
嘘だろ姉さん!自分の都合に合わせて可愛い弟に使ったわけじゃないよね!?
「そ、そろそろ時間ね。ほら、3、2、1、0!!!」
あ、ごまかした。まぁいい、今はそんなことより超能力だ。どんな能力だろう。
「………?」
「あ、あの姉さん…」
「何?なんだったの?勇の能力」
「何も頭に浮かんでこないんだけど………」
「へ!?」
なんでだ!?なんのイメージも浮かんでこない。どういうことだ!?
「どういうことだろ……これは当主に聞いてみるしか……」
「当主?」
「邪答院家の代表、私たちのおじいちゃんよ」
「じいちゃん!!!???」
こうして俺のラブコメ生活が本格的に幕を開けた…?