スキル
最近、動いたり、喋ったりがかなり自然にできるようになってきた。現在、5歳ぐらいだ。
それで、父さんともある程度話せるようになったのだが、それで新たな事実が発覚した。
魔物をテイムするには、大体の場合その魔物と同等程度に強くないといけないらしい。俺は前にドラゴンに乗って戦うとかかっこよくね、とか軽く言ったわけだが。それはかなりの難題らしい。
「おい、レオ! まだ来ないのか?」
「今行く!」
少しベッドで考え事をしすぎたらしい。さて、起きるとしようか!
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適当に食事を済ませた後、俺はかなり長い廊下を歩いていた。俺の家は思ったよりも大きな建物だった。何度か部屋の場所が分からなくなりそうになりながらも、俺がたどり着いたのは、書庫と扉に貼られた紙に書いてある部屋だった。少し適当なところが父親らしい。
扉を開けて、中に入るとすぐにたくさんの本が見えた。書庫の部屋がかなり広い部屋だというのに、そこはほとんどの場所が本棚で埋め尽くされている。元々読書は好きだったから、これだけの本を見ると、すごくワクワクする。
しかし、今は遊ぶためにきたのではない。目的を果たそう。
本棚の本は題名で綺麗に並べてある。俺はその中で一冊の本を探す。
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「疲れた」
俺はそうぼやきながら、自分の部屋へ戻ってきた。綺麗に並べてあると言っても、本の数が多すぎて、見つけるのに30分ほどかかってしまった。でも、無事探していた本を見つけることができた。スキルの事を知りたいと父さんに言ったら、書庫にある本があるからそれが分かりやすい、と言われて紹介されたものだ。ある教団の聖典の写しだそうだ。
「さて、始めるか」
俺はそう言って、話せるようになってから父さんがくれた勉強机に向かい、本を開く。
最初のページには「ゴド教の聖典 模写」という題名が書いてある。もしかして、ゴド教団ってgodで神っていう意味じゃ……いや、まさかね。
ーーププッ
今、変な吹き出す音が聞こえた。しかもこの感覚は……よし、気づかないふりをしよう。俺は何も聞いていない。
ーー無視はひどいと思うよ? 転生者くん。僕だって巧妙に仕込んだネタに気づいた人がいれば話したくもなる。
あー耳鳴りがひどくて何もキコエナイキコエナイ。
ーースキル……回収しようか?
もう分かったわ。久しぶりだな、神(仮)。
ーー(仮)っていうのが気になるけど。で、どうだい? その世界は。
ああ、かなり満喫してる。親にも恵まれたしな。まあ、母親は知らないが。何となく聞きづらいので、未だにどんな人かも分からない。
ーースキルの事が知りたいなら僕が直々に教えようか?
確かにそれはありがたいかもしれない。本を読む時間が減らせるのは明らかなプラス要素だ。
ーーじゃあ「オープン」と唱えなさい。それから……あ。そろそろいかなきゃ。
待てよ、これはもしかして。
ーーじゃあ、またねー
やっぱこれかよ! 肝心なとこで使えねえな、全く。自分の家でなければ、唾を吐いていた。
やっぱり、俺はまず、分厚い聖書の模写を一読することにした。
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軽くだが一応一読した。まあ30分ほどで300ページほど読んだのだから、内容を完璧に理解したかと言われれば、そうではない。
まあ、取り敢えず試してみよう。
「オープン」
俺がそう唱えると目の前に、何かの画面のようなものが現れた。液晶画面が浮いているようなものだ。その画面の左側には、何やら色々とできる事があるようだった。
俺の目はその中である一つに釘付けになる。スキルツリーという欄だ。俺はそれを指で押した。すると、Level1という文字の下に二つのアイコンがある画面が現れた。
俺はワクワクしながらも、少しドキドキしていた。使えないスキルだったら俺はそれをうまく活用する自信がない。俺はまず、黒い剣が書かれたアイコンに指を合わせる。
スキル名:魔剣士(影)Level1
説明:影魔法Level1と剣術Level1の複合スキル
これは……かなりの当たりかもしれない。さっき読んだ本には基本的なスキルの図鑑のようなものもついていたが、複合スキルなんてものはなかった。影魔法って具体的にはどんなものなのだろうか。後で調べてみよう。
そして俺はもう一個のアイコンを見る。だがこのアイコンは何やらおかしかった。不自然にぼやけていて、どんなアイコンなのか、全く分からないからだ。おそらく、これが神が授けたものではないかと思う。まあ、確認してみるのが早いだろう。俺はアイコンに指を合わせた。
スキル名:学びの加護
説明:学びが強化される。
もしかしたらこれは成長チート系のスキルではないか。だとしたら、これは……きたかもしれない。俺のターンきたかもしれないぞ! これさえあればドラゴンなんて楽勝だ!
俺は声を上げて喜ぼうとした。しかし俺はそのスキルの下の方に書かれた無慈悲な文章を発見してしまった。
スキル名:学びの加護
説明:学びが強化される
注)このスキルではLevelが早く上がったりはしないよ(笑)
現実は常に残酷である。