一歳になりました
今日は転生してから大体1年間が経った。今まで何してたかって言うと、特に何もせず俺(赤ちゃん)用のベッドで寝てました。まあ所詮は赤子。転生者と言っても自由に動いたり喋ったりは出来ないらしい。何で父さん達の言葉を理解できるのだろうかと思ったりもした。まあ、考えてもわからないので、ひとまず保留にする。
「おーレオ! 今日も静かだな。偉いぞ。」
噂をすれば父さんだ。黒い髪の40歳ぐらいの人で、話からして、結構気さくな人のようだった。
「今日は米の方を耕してきたぞ。春は忙しいなあ。」
父さんはこんな感じで、よく農場の話をしている。外には大きな農場があるらしい。驚いたのが植物の名前が同じと言う事だが、これはスキル的なアレで翻訳されてるだけだろう、と納得しておいた。
この一年で父さんの話などから、この世界の事をある程度理解した。その整理をしよう。
まず、この世界はよくある中世風の世界だ。これは父さんの旅した場所の自慢話などから理解した。
次に、この世界にはステータスは存在しない。その代わりにスキルツリーが存在するらしい。その性質は次のようになっているようだ。
・それぞれの人に会ったスキルがスキルツリーとなり、本人はそれを閲覧することができる。
・経験を積むことでレベルを上げて、今のスキルを強化したり、次のスキルを取得できるそうだ。
・経験とは戦闘のみに留まらず、読書とか勉強とか、何でもいい。いわゆる人生経験っていうやつだ、と父
さんが言っていた。
なぜここまで詳細なことが調べられたかというと、父さんは何となく俺の言いたいことが理解できるようだ。ほとんどあうあうとしか喋れないのにだ。まあそれはいいとして、最後の性質がある。
この世界では、魔物をテイムすることができる。
条件などは諸々あるようだが、魔物と戦えるというのには、夢がある。例えばドラゴンとか仲間にして乗って闘うとかね。いやー楽しみだ。本当に。
「レオ、今日はご機嫌だな。顔がにやけてるぞ。」
おっと。赤ちゃんなのににやけてるとか流石に気持ち悪い。気をつけよう。
父さんが入ってきてから、閉まっていた扉が突然開いた。
「アルトよ。今日の仕事はあらかた終わったぞ。 」
「お疲れ、ブレイズ。飯にでもするか。他のやつも集めてきてくれ。」
入ってきたのはブレイズと呼ばれている鎧を着たおっさんだった。ちなみに彼も魔物である。父さんがテイムしたようだ。
「それにしても、レオちゃんは今日もご機嫌じゃのう。顔も心なしかにやけているような気がするわい。」
さて、取り敢えずはにやけグセを何とかしよう。