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超人クラブ 先生のフィアンセ その10

「それでですね」

「お前、今、俺が言った事、聞いてたか?」

「聞いてましたよ」

「だったら」


弘明ははっとして義之の手を見た。

リミッターの指輪が一つもはまっていない。

「ははーん、そういう事か。今、俺の思考はお前に駄々洩れなわけだ」

「そうですよ。だから聞いてください」

「わかった聞くだけ聞いてやる」


「実は、私、養子をとろうと思うんですが」

「はぁ?お前、正気か?」

「正気です」

「2356+4824=」

「7180です。だから、正気ですって」

「3624ー1987=」

「1637です。だから、正常ですって」

「……相変わらず見事な暗算能力だな」

「褒めてもなにもでません」

義之は面白くなさそうな、むすっとした顔で弘明を睨む。

二人ともまだ25歳だ。子供はおろか。結婚すらしていない。


「結婚が先だろ。彼女作って結婚しろ」

「婚約者はいます」

「ホントか?すごいじゃないか」

「でも、さっき婚約を破棄されました」

「はあっ?お前」

「痛、痛、いたったたった」

弘明はテーブル越しに身を乗り出して義之のほっぺたをつねった。

「お前、今すぐ謝ってこい」

「あやまる?何で」

「何でじゃない。どうせ原因はお前だろ」

概ねその通りなのだが義之にその気はない。


「そうですけど、謝るつもりはありません」

「何で」

「何でって、悪いと思ってないから」

「はいっ?」

「お前ねー、お前と結婚してくれる奇特な女、彼女だけかもしんねーぞ」

「大丈夫ですよ。なるようになります」

「はあぁーっ、何なんだ。その根拠の無い自信」

「その言葉、生徒にも言われました」


少し間をおいてから義之は言った。

「それより聞きたいのは、養子の件についてなんですが」

義之の余りに真摯な双眸に思わず息を飲む。

「まじめなアドバイスが欲しいのですが」

「……わかった。順追って最初から話せ。解る範囲で答えてやる」

言い出したら聞かない義之の性格だ。

弘明は何を言っても無駄だと理解していた。




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