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超人クラブ 菊留先生の憂鬱 その十四

修羅場が過ぎ去った次の日。


おやじ狩りの件を担当した警察官に電話をかけ加害者親の特攻を受けた事を告げると担当さんは、例の間延びした声でやんわりと謝ってきた。


「あーっ、やっぱりそうなりましたか。申し訳ありませんでした」

「申し訳ないって……」

「先方がどうしても被害者の方に謝りたいとおっしゃいましてね。

あまりにも熱心に言われるものですから、ご自宅の住所を教えてしまいました。」


やっぱり個人情報の出所は警察だったらしい。


「謝りそうもない感じはしましたが、予想通りでしたね」

そう思うなら教えなければいいのに

「ひっとことも謝られてないんですが」

「ほんに申し訳ない」

そう言いながらも彼の声に悪びれた様子はない。

もともとの性格なのか。だがなぜか憎めない。

「電話をかけてこられたという事はやっぱり被害届を提出されるという事ですか」

「昨日の特攻で遠慮しなくていいと判断しました」

「そうでしょうなー、では手続きは三日後でしたね。お待ちしております」

「はい、よろしくお願いします」

昼休憩の会話だ。


その日の放課後、またしても修羅場となった。

教頭先生に「お話があります」と言われて校長室に出向くと教頭と校長が神妙な顔で応接セットに座っていた。

差し向かいの椅子に同じく呼び出された佐藤仁がいる

彼は部活の最中だったらしくジャージ上下を着こんでいた。

バスケットのドリブル練習中だったらしい。


「菊留先生、今日の昼過ぎの事なんですが」

顏を見るなり教頭先生は口を開いた。

「はい」

「貴方と佐藤君が四日前に無抵抗な中学生を怪我させたとの匿名の電話がありましてね。事実確認の為、来ていただいたわけです」

同僚の誰にも言わずに、この事件の処理をしていたのが裏目にでた。


中坊軍団は、実際にはおやじ狩りの返り討ちにあったわけだが、中学生を怪我させたというところだけが学校に伝わっている。

情報をリークしたのは加害者の親だと容易に推察できる。


長々とこれまでの経緯を説明し事件処理の担当していただいた警察の方の名前を伝えて納得してもらった。


「では、一方的に彼らを殴ったわけではないのですね」

再度聞き返された。

「はい。警察に確認していただければわかります。あくまで正当防衛です。

 佐藤君が助けに来てくれたのですが再起不能になるまで叩きのめしたわけではないので

 暴力行為に当たらないと言われました。」


その言葉を聞いて校長先生と教頭先生は満足げにうなずいた。

返答次第ではなんらかの処分を下さなくてはならない立場だ。

何事もなければそれに越したことはない。


二人並んで校長室を出た所で、それまで黙っていた佐藤仁が口を開く。

「先生、気が付いてた?」

教頭と校長、二人の思考を読んでいたらしい彼の質問。

「何がですか?」

他者の思考が頭に流れ込まないようにブロックしている自分には彼の言っている言葉の意味が理解できなくて聞き返した。


「加害者の生徒数人は開成南に推薦の打診があったみたいですね」

「……えっ、本当に?」

何気にため息が漏れる。

「これは、きっちり責任取らせないといけませんね」

「ですよね」


「あんな父兄はいりませんよ」

「あんな後輩はいらないよね」


同時に呟いた。

立場の違いから若干の誤差が生じたが彼とは何かと思考が合うらしい。


三日後、ドクターから診断書を貰って警察に被害届を提出。

その後、彼らがどうなったかは知らない。

後日の事ではあるが、次の年、彼らが開成南に入学してくることはなかった。


手痛いしっぺ返しではあったが間違ったことはしていないと

今でも思っている。


夏休み目前、一学期が終わりを告げる数日前の話だった。



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