超人クラブへようこそ その16
角田先輩の習い事の多さが半端ないことが分かって少し驚いた。
茶道、書道、日舞、学習塾、塾は俺と同じ所に通って週2のペースだったはず。
加えて毎日部活に出席していて書道部の部長だから、後輩の指導にあたっている。
今朝も母親の茶道の稽古に付き合ったと言っていた。
これじゃ、精神的に休まるときがないだろう。
あれってことは……?
「泉もほぼ同じメニュー?」
「えっ、何が?」
「習い事」
「ううん、ちがうよ、私は日舞をやめてヒップポップの方に行っちゃった。
日舞ってお金がすごくかかるしお付き合いも大変だしね」
「お金って、そんなにかかるのか?」
「うん、かかるよ。着物、小物一式(扇子、傘、簪等)月謝、舞台レンタル代、
お花代、心付けなどなど、一回の舞台に軽く20万はかかってたんじゃないかな。
払うのは母様だから、別に何とも思わなかったけど」
こともなげに言ってのける泉
発表会に20万とかすごすぎる。やっぱ、こいつら金持だ。
「それから、茶道は休んでるから、今続けてるのは書道だけね」
「ふーん、そうなんだ」
「あっ、聞いたわよ、高森君、書道部なんだって?今、何書いてるの」
「点、丸、縦線、横線、波線、はね、とめ、はらい」
「ええっ、何、それ、ひどーっ、文字書かしてもらってないの?」
各自の練習内容を決めるのは完璧主義者の先輩だ。
みみずがはったような俺の字は相当に先輩の眼鏡にかなわなかったらしい。
「俺、字下手だからまじめに修行しろって、」
「さすが角田先輩、鬼畜すぎるご指導ぅー」
「泉、笑いすぎ、もぉー、恥ずかしいなぁ」
「漢字書かせて下さいってお願いしてみれば?」
たくさんの習い事をこなす先輩にそんなずーずーしいこと言えるわけがない。
「そういう事は泉から先輩に言ってくれよ」
「うん、わかった。私から言ってあげるわね」
まだ、笑いがおさまらない泉。
「部員の中で一人だけなんでしょ。愛されてるよね、高森君」
「いや、違う!絶対いじめだと思う」
真顔で宣言する俺。
「そうかなー、先輩って嫌いな人には、氷の様な冷たさで対処するし、見込みない人は歯牙にもかけないよ」
「……。」
「そのうちわかるよ。先輩の人柄」
泉にそう言われて、菊留先生の言葉を思い出した。
『珍しいですねぇ。角田君、君が人に固執し優しくするなんて』
先生は確かにそう言った。
俺って先輩に気に入られてる。なんで?疑問符ばかりが沸く。
泉と別れた後、俺はしばらくその事を考え続けた。




