いい兄さんの日
「お兄ちゃん!いつまで寝てるの」
部屋にノックもせずに入り込んできた妹は、ベッドで寝ている俺に馬乗りになって揺り動かす。
うるさいなぁ。久々に何も予定が入ってない日なんだから、惰眠を貪ってもいいじゃないか。と狸寝入りを決め込んだ。
「もうお昼だよう。おなかすいたよう。起きないなら、食べちゃうぞ。あむっ」
ナニを食べるのかと薄目を開けて見る。
……ナニをくわえてるんだこいつは。
「おいひい」
「お前ナニくわえてんだよ」
「バナナ」
「それはっ、お兄ちゃんのバナナだ!!」
妹は、口に含んだバナナをかじって飲み込む。
「だって、起きてこないんだもん。冷蔵庫に入ってたのこれだけだったし。それに狸寝入り知ってるんだから」
チッと舌打ちする俺。
「しょうがねぇなぁ。親父もお袋もいねーんなら食いに行くか。バナナもほしいし」
「そうこなくっちゃ」
「お前が食ったバナナは弁償しろよ」
ポンポンと優しく頭をたたくと、ヘヘヘ。とにやけながら、わかったよう。という。
俺は、妹の姿にふぅ、とあきれ半分のため息をついて、着替えるから出ていけと妹を部屋から追い出す。
何もない休日。たまには妹と二人で外食も悪くないか。
そんなことを考えながら、外出用のジャケットを羽織り、部屋を出るのだった。
11/23、つまり、いい兄さんの日に書いたネタ投稿です。
しばらく投稿があきそうなので、とりあえず投下。