55限 加奈、圭介ペア
前回のあらすじ
甘いデザートを食べた。
テニスコートに戻った六人はコート脇で話をしていた。
「お兄ちゃんとダブルス組みたい!」
真っ先に加奈が挙手をする。
「じゃあ、俺は……」
「斉木と唐崎は強いから別れろよ」
斉木が唐崎と答えそうだったため阻止をする。 斉木は残念そうな表情を見せた。と思ったら急に明るくなり池波さんを誘う。
「いいよ、よろしくね」
池波さんが笑顔で答え、余った唐崎と睦美が組む。
「じゃあ、よろしく」
「よろしくお願いします」
今回の睦美はアイスを食べたからか旅行に来ているためか調子が良さそうだった。
「じゃあ、誰からやる?」
考えてもダメなのでジャンケンで決める。その結果、先に圭介、加奈ペア対唐崎、睦美ペアとなった。
「じゃあ、斉木は審判やって」
自然な流れで斉木と池波さんが審判をする。
「5ゲームマッチプレイ!」
斉木のコールとともに唐崎が高くトスを上げる。そしてその頂点に到達したところでラケットを勢いつけて落とす。放たれた打球は一直線にコートに入り跳ねる。圭介はその打球をしっかり面で捉えクロスに打ち返す。前衛の睦美と加奈がその打球の動きを見て動き出す。唐崎がスライスで緩急をつけ、揺さぶりをかける。圭介はそれにしっかり対応し攻めるチャンスをうかがっていた。それは前衛の二人もおなじだった。
「アウト!」
圭介ががネットに引っ掛ける。
「15-0」
緊張感漂う静かなコートに斉木のコールが響き、圭介がスライスサーブを放つ。加奈がそれをなんとか返しそのまま前に詰める。睦美がレシーブを鋭い角度で思いっきり返球する。予測していた圭介はすぐさま落下地点に走り返球する。しかし返されたボールは加奈の頭上を通りすぎる。
「ナイス、ロブ!」
「まだ序盤だから大丈夫だよ」
圭介が加奈を励ます。
「15-15」
「30-15」
その後は圭介のストロークが唐崎を苦しめていった。