54限 甘いデザート
六人は具沢山の海鮮丼を出すお店に来ていた。
「デザート食べていい?」
加奈がメニューを指差し、欲しそうな顔で圭介を見つめる
「私も」
それに乗っかり睦美も見つめてくる。
「まぁ、仕方ないか、池波さんは何か頼む?」
メニューを渡し、尋ねる。
「うーん、私はバニラアイスかな」
「おれもそれ!」
唐崎もデザートを決め、圭介も斉木もそれぞれ頼む。
「1時だけどこの後どうする?」
デザートが来る間に斉木が尋ねる。
「試合やりたい!」
加奈が元気に手を挙げる。
「私も!」
睦美も続けて手を挙げる。まだテニスをやるのかと思ったが圭介もまだ満足していなかった。
「僕はテニスもでもいいけど」
「お兄ちゃん、すごくやりたそうな顔してるよ」
やりたいことを隠して提案したつもりだったが妹にはバレバレだった。
「唐崎も池波さんもそれでいい?」
二人とも賛成した。
「お待たせしました、こちらバニラアイスになります」
今後のことを話をしていたら店員がそれぞれのデザートを持って来る。
「お兄ちゃんの抹茶アイスもおいしそう」
圭介の前に出されたアイスを羨ましそうに見る。
「ほらっ」
圭介がスプーンを加奈の口の前に出す。それを加奈がぱくりと食べ、幸せそうな顔を見せる。
そんな二人を睦美と加奈が驚いた表情で見て、斉木と唐崎がまたか、といった表情で見た。
「おにーちゃん、私のも上げるー」
加奈も圭介にあーんをする。
「おいしい」
そう言ったところで睦美と加奈の視線に気づく。
「池波さんもお兄ちゃんにあーんしてもらう」
「な!?」
圭介と池波さんがあたふたする。その様子を見て加奈はにやけ、斉木と唐崎は白い目を向け、睦美は笑っていた。