52話
前回のあらすじ
旅館につき、五人はテニスを楽しんでいた。
「今度は斉木と唐崎と睦美と加奈ちゃんで」
そう言い圭介と池波さんがコートから出て斉木と唐崎がコートに入る。
「よろしくね、加奈ちゃん」
「こちらこそ、よろしくお願いします!」
加奈が深々と礼をして顔を上げる。その楽しそうな表情に唐崎が一瞬後ずさり何か言った。口の動きから可愛すぎると言ったと思われる。
「じゃあ、睦美ちゃん、いくね」
ラケットを軽く頭の上で左右に振り唐崎が軽くボールを打つ。睦美は最初からその打球を全力で打つ。加奈が重い打球に押されつつもなんとか返す。その甘い打球を斉木は容赦なく唐崎の左側に深く打ち込む。
「ちょっ、今のはむりだよ」
「ごめんなさい、私がちゃんと返してたら」
加奈が謝ったため唐崎が必死に気にしないでいいよ、と繰り返す。
「やっぱり、このメンバーだと加奈にとって厳しいかな、睦美は小学生の全国レベルな上、苦手とするパワー選手だからね、もう一人は男子高校生で中学の時に関東メンバーだったからね」
ベンチで圭介と池波さんがラリーの様子を眺めていた。
「それは今回の試合で上達すると思うよ。それより、ラリーじゃなくなるだね、やっぱり」
「そうだね」
圭介達はコートで行き来する打球を首を右左と動かして見ていた。