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小学生に教わる庭球講座  作者: いさまた
5/75

5限 突然の帰宅

前回までのあらすじ

壁打ちに来た武本 圭介。そこで同じクラスの池波 沙織里さんと出会い、一緒に練習を行った。

いつもどおりに家に帰宅し、テレビを流しながら夕飯を作っていると加奈が帰宅した。また着替えもせずに夕飯を食べようとしたため注意をする。加奈はそのやり取りが楽しんでいるのか笑っていた。


「いただきまーす」


いつものくまの着ぐるみパジャマに着替え、今日の夕飯のオムライスをおいしそうに加奈は頬張った。そして他愛のないことを楽しく話す。


「今日、無回転ショット打ったんだよ、弾まなかったんだよ」


右手をボールに見立て説明をする。


「どうせ、フレームにでも当たったんだろ」


「そうだけど……」


加奈が拗ねてしまったため、大きめのハムを分けてあげたら喜んで機嫌を直した。


そんな空間に今日は思わぬ来客が来た。カードキーを読み込む音がしてロックが外れる。そしてそのままリビングの扉を開いた。


「ただいま」


その声とともに多くの荷物を持った母がリビングに入ってくる。 当然の帰宅に驚く加奈と圭介。


「あ、おいしそうな夕飯」


食卓の上のオムライスを見て目をキラキラさせる。


「良かったー、ちゃんと夕飯食べているのね」


母は安心した表情を見せ、買って来た食材の中からお土産のおかしを取り出した。


「よかった、じゃあ、これは食後にでも食べようね」


何も言えないでいる圭介たちをほっといて母さんはリビングにある自室に荷物をしまいに行った。


「海外での仕事はどうしたの?」


圭介が母が夕飯の席に着いたところで訊く。


「ようやく終わったのよ」


「え、じゃあ、もう海外に行かなくていいのか」


前のめりになったため肘に夕飯がつきそうになる。


「問題が起こったら呼ばれるかもしれないけどしばらくは大丈夫だって」


これ美味しいといいながら母が優しく答える。


「ねえ、お兄ちゃんバイトじゃないの」


加奈が初めて口を開く。その口調はいつもより明るく感じ、気になったがバイトに遅れるわけにいかず、母のお土産のお菓子をポケットに入れて家を出た。







「加奈まだ怒ってるの」


母が優しく問いかける。


「そんなことないよ」


いつもの明るい口調で答える。確かに加奈は怒ってはいなかった。しかしあまり関わろうとしなかった。そうなるのは仕方ないと言えばそうなってしまう。まだ、小学5年生の時に両親が離婚し父は出て行き、しばらくして母が海外赴任してしまったのだから。家族という枠組みで同じという認識しか加奈は思えなかった。


「そう……」


じぶんのことをよく思ってないことが加奈の様子で分かり母は言葉がつまってしまった。


「近況報告は圭介が帰ってきてから訊くから風呂入ってくるね」


母はその場に居づらくなってしまい風呂に逃げる道を選んだ。


「お兄ちゃんは深夜に帰ってくるから明日のほうがいいんじゃないのかな、休みだから」


そう、と弱々しい声を漏らした母は自分の部屋で着替え等を準備して風呂に向かった。母の部屋はいつ帰ってきても良いように毎日、圭介が掃除していた。

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