41限目 嬉しい誘い
前回のあらすじ
睦美と加奈と圭介と斉木と唐崎で海に行くことになった。さらに池波さんも誘うことになり、圭介がそれを頼まれた。
翌日、テニススクールに行くと池波さんも来ていた。
「こんにちは〜」
池波さんが圭介がやってきたことに気づき、近づいてくる。
「こんにちは」
「ねえ、壁打ちだけじゃなくてレンタルコートでたまには練習しない?」
「いいけど」
突然の誘いに戸惑いつつ賛成する。
「そろそろ、体操始めるからコートに入ってー」
今日の担当の志貴コーチが集合をかける
「じゃぁ、詳しくは後で」
そう言い池波さんとコートに入って行く。パラパラと他の人もコートに入って行く。今日も全体的に年配の方が多かった。その方達と体操を行い、それぞれの級ごとに分かれる。
「じゃあ、ベースラインに並んで、クロスいくぞ」
その指示で一列に並ぶ。今日は圭介と池波さん以外に30代の社会人風の男性と以前も一緒だった50代の女性がいた。
「あら、今日も一緒なんですね」
いきなり微笑みながら、からかわられた。そんなことを知らず志貴コーチが球出しを始める。
そのためその言葉にスルーする感じになってしまった。
「ネットは越えろー」
社会人風の男性がネットして注意を受ける。圭介も何回かその後、注意を受けた。池波さんは一球越えなかっただけだがコースが甘くてコーチに注意を受ける。
「よし、じゃあ、ボール拾い」
籠のボールを全てなくなりボールを集めることを指示する。圭介はコースに落ちているボールをラケットで軽く数回叩き、弾ませネット手前のボールを拾う。奥のボールは手で拾っていく。そんな感じで練習は続いていった。
「じゃあ、今日は四人だし、シングルでもやろっか」
最後の試合練習は珍しくシングルで行うことになった。圭介は池波さんと出来たらいいなと願っていた。
「じゃあ、強い二人は一旦置いといて……」
圭介は後回しにされた。しかしこの大人方の試合が終われば池波さんとの試合が待っていた。
「4点先取でデュースはなしでサーブから」
志貴コーチはルールを説明してフィッチをするように言ったため女性の方が尋ねる。
「ラフで」
女性がラケットを相手コートで回す。数回回ったラケットは速度を徐々に落とし倒れる。
「スムースでした」
その結果、女性がサーブ権を選んだため男性がコートを選ぶ。しかし室内のためあまりコート条件は変わらない気がした。
「じゃあ、始めて」
志貴コートの緩い開始の合図とともに試合が開始する。女性がファーストサーブを打つ。安定したそれなりのスピードのボールが入る。それを男性が返球するもストローク方向に行ってしまった。そのため女性の打ちやすい球のため強めのクロスストロークが打ち込まれる。男性は追いつけず見逃す。
「1-0。ボールいきます!」
コーチがカウントしてボールを女性に渡す。受け取った女性が先ほどと同じフォームでサーブを打つ。今度はコースがズレ、フォルトする。そして二球目は入ることを意識してなのか弱めのボールを打つ。チャンスボールだったため男性がクロスに強打する。女性は返球するもアウトとなる。
「1-1。ボールある?」
「ありまーす」
女性がボールがあることを示し、サーブを打つ。今度は入り、ラリーが始まるも三球めで女性がネットに引っ掛ける。
「2-1」
次もサーブが入り、男性が打ち返すもネットしまう。
「3-1、マッチポイント」
女性が今まででより強めにサーブを打つ。しかし残念ながらオーバーしてしまい、セカンドサーブを打つ。その打球を入れようと意識しすぎたためネットにに引っかかり試合が終了する。
「お疲れ様です」
「じゃあ、今度は学生同士で」
その言葉を待っていた圭介は嬉しそうにコートに入っていった。