40限目 計画
前回ののあらすじ
唐崎から電話が来て、色々近況報告等するため斉木も呼び遊ぶことになった。
13時。テニススクールと壁打ちを終え、帰宅する圭介。今日は睦美が家にいた。そして昼時に加奈が帰宅してくる。
「2時くらいに友達来るけど良いよね」
昼食を食べながら念のため事前に知らせておく。
「池波さん?」
加奈が余計な期待をニヤついた表情で抱いている。
「いや、唐崎と斉木だよ」
それを聞くなり加奈が残念そうな表情を見せる。睦美は誰のことか分からないようだったので教えてあげる。
「最初に会った時にいた友達だよ」
「あー、あの人たちね」
睦美は覚えているようで適当に答える。意外なことに反対をしなかった。
「今日は食器洗いよろしくね」
食べ終えた加奈が立ち上がりリビングから出ていった。 食器洗いは睦美が来てからは交代制にしていた。そして今日の担当は睦美だった。
「はーい」
ダルそうな声で答えるがキチンと食器を洗い始める。圭介は友達が来るということで自室の掃除を始める。
14時。
「お邪魔しまーす」
その声とともに唐崎と斉木が入って来る。久しぶり、と圭介が迎え入れる。二人はリビングには行かずそのまま圭介の部屋に入っていく。そして唐崎はベッドの上で壁に寄りかかり、斉木はベッドに寄りかかった。
「今、お菓子持ってくるね」
そう言い残し部屋から出てお菓子を取りに行く。
「お前ら、くつろぎすぎだろ」
お菓子を持って部屋に戻ると唐崎はベッドに横になり漫画を読み、斉木もベッドに寄りかかり漫画を読んでいた。
「お、ありがと」
唐崎はその姿勢を変えない。その代わり斉木が動く。
「で、話は何?」
「お、いきなりか」
圭介はいきなり話すことを一瞬躊躇ったが唐崎が漫画を置き、座ったのを見て話し始める。
「それがようやく帰ってきたんだよ、母さんが」
「おー、それは良かったじゃん」
素直に喜んでくれる唐崎。
「で、その母さんが再婚して智さんという父さんができたんだよ」
「お、おう」
戸惑う二人に気にせずに話を続ける。
「で、妹がもう一人できた」
「は?」
面白いほどハモる二人。
「さらにこの間テニスで戦った女の子」
「嘘だろ……」
開いた口が塞がらないとはこのことだろう。面白い表情を見せていた。
「漫画の読みすぎだよ、加奈という可愛い妹がいるのにさらに妹だなんて」
その出来事を笑い飛ばそうと斉木はするが残念ながら事実だ。
「証拠を見せろ、証拠を!」
追い詰められた犯人のように唐崎が少し強めの口調で言う。一度、しっかり睦美を紹介しようと考えていた圭介が睦美の部屋に行き、ノックする。
「なに!?」
少し、嫌そうな顔で扉から睦美が顔を出す。
「一応、紹介しとこうと思って、唐崎と斉木ね」
「こんにちは」
睦美が困惑した様子で軽く会釈をする。
「そうだ、海に行くって言ったら行く?」
この間、銭湯に行った時、怒られたので今回はあらかじめ尋ねる。
「行かない」
睦美はそう言い扉を閉める。睦美は最後まで態度を変えなかった。
「本当だったんだな」
唐崎と斉木が圭介の部屋に戻りお菓子を食べながら話す。唐崎はベッドの上、斉木はベッドの前が定位置になっていた。そして圭介は机のイスに座っていた。
「で、海に行く?そろそろお盆だから加奈も休みになると思うけど」
「もちろん、いくよ、お盆なら俺たちも休みだから」
「じゃあ、加奈に訊きにいくか」
今度は向かいの加奈の部屋をノックする。
「なぁに、お兄ちゃん」
睦美と全く正反対な態度で扉から出てくる。
「あ、こんにちは」
唐崎と斉木に気づき、きちんと笑顔で挨拶をする。唐崎と斉木もニコニコ挨拶ををする。中学の時にも圭介の家に何度か来ていて一緒に遊んだこともあり、仲がいい。
「加奈、今度、海行くけど行く?」
「うみぃ!」
100点以上の喜びを見せる。しかしそれは一瞬でシュンとした表情になる。
「だけど、私が行ってもいいの?」
抱きしめたくなるほどの可愛さで加奈は心配する。
「大丈夫だよね」
唐崎と斉木に同意を求める。当然、二人は深く何度も頷く。
「うーん……睦美は来るの?」
「いかな……」
「行くわよ」
突然、リビングの扉が開き、睦美が廊下に出て来る。突然の登場に驚き、睦美のことを見つめる。
「なら、行こっかな、後、池波さんは来るの?」
「え!?」
睦美が来ることにまだ驚いた圭介にさらに加奈は驚くことを言う。
「いいね」
唐崎もなんかその気になっている。
「じゃあ、お兄ちゃん、誘っといてね、」
語尾を可愛く言いお願いする。
「う、うん」
そんな加奈に頼まれ、つい頷いてしまった。
「お盆なら私、休みだから」
そう言い自室に戻る加奈。睦美もその流れで私も行くからね、と言い残し自室に戻って行った。
「池波さんもくるのかー」
斉木はすでにテンションが上がっていた。