30限 同居の知らせ
今までのあらすじ
テニススクールの体験レッスンを終えた武本 圭介はそのテニススクールに通うことを決めた。
圭介はその後、テニススクール、壁打ち、バイトという生活が4日続き、疲れていた。しかしそれでもテニススクール、壁打ちには毎日行った。それは池波さんが毎日壁打ちに来たこととテニススクールは楽しかったからである。そんなある日、壁打ちに行こうとした圭介を母さんは玄関で呼び止めた。
「圭介、今週の土曜日に智さんたちが引っ越してくるから午前中は家にいてね」
ついにその時が来たのかと胸の鼓動が早まる。母さんはすでに役所に書類を提出し、再婚の手続きが済んでいて正式に再婚した。そして苗字はお互いそのままだった。
「わかった、いってくるね」
いってらっしゃい、を最後まで聞かずに家のドアを閉めて壁打ちに向かう。
「ほんと、毎日、来てるね」
今回は池波さんが先に壁打ちの練習をしていた。日によって池波さんが早かったり圭介が早かったりしていたのだ。特に時間は決めてないが13時にはお互いいた。
「回転系のショットを強化したくてね、池波さんこそ毎日来てるじゃん」
「わ、私は日課になってるから」
よく分からない理由を述べる池波さんは何かを誤魔化すように壁打ちを始めた。数回続けた池波さんは満足したのか圭介と代わる。圭介は宣言通り回転を意識してボールを打つ。
「どうかな?」
数回打ったところで池波さんに尋ねる。
「問題ないように私は見えるけど」
「それならよかった」
池波さんに問題ないと言われ圭介は安心することができた。
「実際にコートでそのまま打てばいいよ」
「そうだね、今度のレッスンで試してみるよ」
「明日もレッスン?」
「そうだよ、9時から」
「私も9時からだよ、また一緒だね」
嬉しそうな表情を見せる池波さんに圭介はドキドキするようになっていた。