26限 テニススクール
今までのあらすじ
母さんが再婚することを決めた。
そして加奈も圭介も一歩前進しようとしていた。
圭介はいつもとは違い、左手で壁打ちをしていた。まだ以前のようには出来なかったが徐々に打てるようになる感覚が堪らなく楽しかった。そのためスライスを打ってみたりスピンかけたりといろいろ試してみた。池波さんは圭介がキラキラした目で壁打ちをしている姿に見入り、コート外から遠目に見ていた。このままずっと見てたかったが休憩に入ってしまった。諦めて池波さんは圭介に話しかけた。
「おはよ、武本くん」
圭介はその声を聞き少し気持ちが高鳴った。
「おはよう」
「調子どんな感じ?」
ボールをラケットで弾ませながら池波さんが尋ねてくる。
「まだまだかな」
圭介も負けじとベンチから立って裏表交互に弾ませる。池波さんがニヤリと笑いフレームでボールをつく。圭介もフレームでつく。
「おっ」
圭介の力を見て池波さんのスイッチが入った。
しばらくお互いフレームでボールをつく。
「あっ」
先に池波さんがバランスを崩してボールを落とす。
「左でやるとそんなにできるの!」
池波さんが落とした後もボールつきを続ける圭介をみて池波さんは驚きの声を漏らす。それで調子をのった圭介はボールを高く上げ背面キャッチをする。池波さんが悔しそうな顔をしたので圭介はニンマリする。
「それで前言ってたスクールのことなんだけど」
壁打ちが一段落つき休憩中に池波さんが切り出した。
「一度、見学しないかだって、これ電話番号ね」
そう言い池波さんはラケットケースから1枚のチラシとパンフレットを出した。
「ありがと、さっそく今日、電話してみるよ」
「うん、待ってるね!」
家に帰宅した圭介はもらったチラシとパンフレットを眺めていた。室内コートで雨の日でもレッスンができ、施設内にはシャワー、ジムが付いていた。コートの数も6面と半面コートが1つと広かった。級は入門、初級、中級、上級と分かれていた。 施設内も清潔感があり、よかった。そのため電話をして体験することにした。コースは中級を選択した。