23限 リベンジ
今までのあらすじ
圭介はリベンジのため池波さん、唐崎、斉木と練習した。
土曜日、約束通りに皆里睦美、智と武本 圭介、加奈、母さんはテニスコートに来ていた。
「ねえ、なんで左手でラケット持ってんだよ」
ラリー中、圭介が左手でラケットを持っていたことに気づいた睦美がいらついた口調できく。
「お兄ちゃん、ほんとは左利きなんだよー」
加奈が反論する。加奈が強めの打球を睦美に返球する。それを聞き驚いたのか睦美のボールがぶれる。それを圭介はフォローする。
「さすが、お兄ちゃん!」
その様子をベンチで親たちは談笑しながらみていた。
「じゃあ、ゲームしよっか、始めは圭介と睦美で、私、審判するよ」
そのまま審判台に座る加奈。
「フィッチ」
睦美が自身のコートにラケットをたてる。
「スムース」
それをきいた睦美がラケットをまわす。数回回ったボールは勢いをなくし倒れる。ラケットのグリップエンドで確認する。
「私のサーブね!」
「ほんとにいま、確認した?」
確認したかあやしかったため加奈が尋ねると無視してサーブの準備をする。
「圭介がコートを選ぶんだよ」
睦美が叫ぶが聞かない。圭介が加奈をなだめてコートに入る。
「5ゲームマッチプレイ!」
睦美の鋭いサーブが放たれる。相変わらず小学生離れしたスピードだった。右手だと打ち方を脳でイメージして打たないといけなかった。しかし左手だとほぼ反射で体に染み付いた動きができた。
「はやっ!」
小学生がその打球に驚く。しかし圭介にとっては遅かった。1年ぶりのテニスのため鈍っているのだ。睦美が力一杯もう一度打つが、圭介は深くてあまり弾まない嫌なレシーブを打つ。しかし睦美も負けじとそれを返してくる。今度、圭介は跳ねるショットで睦美を崩す。そして甘くなったところを強打する。
「くそっ」
うまくいかない睦美は苛立つ。
「フォルト」
サーブが安定しなくてミスをする。
「お兄ちゃん、頑張ってー」
加奈の言葉がますますイライラさせる。そのままセカンドサーブを打つ。圭介はそれを強打する。睦美はなんとか返球したが圭介に決められた。そのまま思い通りに打てなかった睦美は圭介に完敗した。
「お兄ちゃん、今度は私とやろ」
審判台から降りて来た加奈が頼む。圭介はこの時、睦美の強さに疑問を感じていた。レンタルコートで高校生や大学生相手に無敗だったというのはどういうことなのか。以前、戦ったよりミスが多かったのはどういうことなのか、腑に落ちないでいた。
[加奈と圭介のテニス講座]
圭介「今日は試合の始め方について説明するね」
加奈 「はーい!」
圭介 「まずはコートかサーブ権を決めるためラケ
ットを回すんだ。そのときにフィッチと尋
ねるんだ。回さなかった方はラケットが倒
れたのが裏か表か予想するんだ」
加奈 「裏のことをラフ、表のことをスムースいっ
たりするんだっけ?
圭介 「他にも、裏、表といったりもして色々な言
い方があったりするよ、それはラケットを
を握るところの下にあるグリップエンド
でかくにんするんだよ」
加奈 「ラケットは相手コートで回し、倒れたラケ
ットを相手に確認してもらうのがマナー
だよね」
圭介「そうだよ、じゃあ、今日はここまで!」