22話 克服
池波さんに、左利きなの? と訊かれ過去のことを振り返る、圭介、唐崎、斉木の3人。その3人の空気が重くなったのを感じ質問したことを悔やむ池波さん。
「ごめんなさい」
申し訳なさそうにする池波さんが見ていられなくて圭介は決意する。
「なんか、できる気がしてきた、やろ!」
「そうだね」
場の重い空気を飛ばすためかいつもより明るく言う斉木。そして唐崎と圭介ペア、池波さんと斉木ペアのままラリーを再開する。圭介は先程と違い左手でラケットを握っていた。
「圭介ー、最初は軽くいくよ」
斉木がそう言い優しめの山なりのボールを圭介の足元に落とす。圭介は過去の感覚を呼び起こし打つ。ボールは一直線に相手コートに向かう。しかしコースまでは調整できてないためストレートに飛ぶ。そのボールを斉木が先程より少し強めのボールを圭介に打つ。圭介はそれを今度はクロスに打つ。池波さんはそれを唐崎に打つ。次に斉木、圭介、池波さん、唐崎の順でラリーを行う。
「あ……」
斉木のボールがネットに引っかかる。そこで一回休憩することになった。
「圭介、手の震えとか大丈夫?」
ベンチに座り唐崎が心配する。圭介は手を握ったり広げたりするが大丈夫だった。
「大丈夫そうだね、よかったー」
その様子を見て斉木が安心する。
「大丈夫みたいだから、試合やらない?」
圭介の提案に賛成しラリーを踏まえペアを決める。
「よろしくね」
池波さん、圭介ペアがコートに入る。
「ペア歴4年の息のあったダブルスを見せてやる」
唐崎、斉木ペアもコートに入る。