16限 試合終了
武本 圭介が負け、唐崎 拓、斉木祐真ペアの試合が始まった。序盤は相手のサーブに苦戦を強いられたが巻き返していった。
「ゲームセット」
そのコールがなり試合が終わる。圭介を除き団体戦メンバーがコートの中央に一列に並ぶ。
「ただいまの試合、3-1で南中学校の勝利です」
審判が指したのは唐崎、斉木、圭介の南中だった。
「また、ただいまの試合で南中学校の関東大会出場が決まりました」
審判にしっかり関東大会出場が決まったことが伝えられ嬉しさがこみ上げてくる。
「ありがとうございました」
礼をして圭介のいるベンチに行き喜びを分かち合う。柵の向こう側で応援していた南中の部員たちも歓喜を上げていた。その歓声の中、コーチは圭介を呼んだ。
「圭介、病院いくぞ」
そのまま圭介はコーチの車で病院に向かう。歩くことすら困難な圭介は大人しく従った。そして病院で検査や問診すると医師は顔をしかめた。
「顔の方は大丈夫だと思うが、足首は靭帯を損傷していてギプスはめて動かさないようにしないと。それと肘の方はテニス肘の前兆だと思うからあまり動かさないようにすることだね」
医者の一つ一つの言葉が僕を苦しめる。医師の細かな説明がその後も数十分続く。どうやら3ヶ月テニスどころか普通の生活すらできないらしい。関東大会には到底間に合わなかった。コーチも医師もかける言葉が浮かばないのか事務的な話だけで病院を後にした。