15限 勝利の道のり
今までのあらすじ
武本 圭介は顔にボールが直撃し転倒してしまった。
さらに足の怪我もひどく棄権した。
棄権した圭介を病院に行くよう、コーチが勧めるが圭介は断った。
「関東大会出場が決まる瞬間をしっかり見ていたいです」
コーチはあまり動くなよと言い、試合前のラリーに目を向けた。圭介が負けたため団体戦の結果は2-1。圭介と同じくこの試合に勝てば関東大会だ。しかし負けたらかなり不利となる。圭介の学校は先手必勝ということで強いメンバーを先に出していたのだ。
「レディ」
審判がラリーの練習をやめるようコールする。お互いがそれぞれの位置につく。サーブは唐崎、斉木ペア。
5ゲームマッチプレイ!」
審判のコールを合図に後衛の唐崎がサーブを打ちラリーが始まる。前衛の斉木はチャンスを伺う。しばらくクロスのラリーが続く。お互い様子を見ている感じでまだ攻めない。そのまま唐崎、斉木が相手のミスでゲームを取る。
「ゲームカウント1-0」
相手がきれいなフォームでサーブを打つ。そのサーブはラインギリギリで弾み曲がった。そのサーブを唐崎が返球するもネットに引っかかる。
「どんまい、次、集中しよ」
パートナーで励まし士気を高める。
今度は斉木がレシーブする番でしっかり相手のボールをみて回転も考え返球する。危なげに返球したためか強烈なボールが返ってくる。それをなんとか返す。あのかなり曲がるスライスサーブのせいで唐崎、斉木ペアはうまく攻めることができないでいた。
「アウト! 」
「挽回しよう」
手を叩き、持ち場につく二人。
「1-3」
また、かなり曲がるスライスサーブを打たれる。しっかり構え待ち受ける。コースを読み動く。そしてテイクバックする。そして跳ねたボールの真後ろからラケットを押し出す。そのボールを相手は難なく返して、後衛同士のラリーが始まる。前衛は攻めるチャンスを狙って常に動いていた。何回か続き甘いコースのボールが返ってきたのを斉木が際どいコースに鋭く返す。
「ナイスボレー」
「2-3」
相手があせっていたのかファーストサーブを外し、威力を弱めたスライスサーブを打ってきたのでしっかり決めた。
「デュース」
ここからは2点差がつくまでだったがスライスサーブを何回か受けたため軌道を読むことができ、ゲームをとることができた。
「ゲームカウント2-0」
唐崎、斉木のサーブの順番となる。そしてこのゲームを取れば勝利し関東大会出場となる。
圭介もベンチで全力で応援していた。唐崎が思っ切りラケットを振りかぶりサーブを打った。
[加奈と圭介のテニス講座]
加奈 「スライスサーブってなぁに?」
圭介 「サーブにもいろいろな種類があるんだよ
大きく分けて3つ、フラットサーブ、スライス
サーブ、スピンサーブだよ」
加奈 「何がちがうの?」
圭介 「フラットサーブは回転が少ない威力のある
サーブのことだよ。
スライスサーブとスピンはそれぞれ回転が
かかっているためスライスは横に、スピン
は縦に跳ねるんだよ」
「加奈 「回転量を増やせばその分、跳ねるの?」
圭介 「そうだけど、無理に回転をかけようとする
と怪我の原因になるから気をつけてね」
加奈 「わかった!」
圭介 「じゃあ、今回はここまで、また次回で!」