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第4章:第91話:凶鳥の舞と赤き巨像

第4章:第91話:凶鳥の舞と赤き巨像


シンジは一瞬の躊躇もなく、重厚な扉を蹴り開けた。


「……行くぞッ!」


扉の向こう、広大な最深部の間。


そこには、岩のように盛り上がった赤い筋肉を持つ赤いトロルと、その背後を無邪気に飛び回る、白くふわふわとした小さな鳥の姿があった。


魔物たちは、突如現れた侵入者に一瞬だけ動きを止めた。


不意を突いた!!――シンジは直感し、叫んだ。



「しめた! 全員、例の鳥を狙えッ!」



シンジが腰の後ろから木のブーメランを引き抜き、対空特攻のウイングブロウを乗せて放つ。


同時にフィリアの精密射撃による矢が空を切り、ミーシャが放った石つぶての礫が散弾のように小鳥を包囲した。

さらにセシリアが、敵の素早さを削ぐべく弱体化の呪文を唱え、全火力がその一羽へと集中する。



だが――。



「……っ!? なにっ!?」


ミーシャが驚愕の声を上げた。


必中のタイミング。逃げ場はないはずだった。


しかし、その白い小鳥は、まるでこちらの攻撃が分かる様な機動でブーメランをすり抜け、矢の風圧を利用するようにして全ての攻撃をひらりと回避したのだ。



初撃の完全な失敗だった…!




「グルアアアアアッ!!」


不意打ちの硬直から解けた赤いトロルが、巨大な木の棍棒を振り上げ、地響きのような咆哮を上げた。


それに応えるように、宙を舞う小鳥が可愛らしい声でチチッと鳴く。

その瞳には、獲物をなぶり殺そうとする残酷な光が宿っていた。



「……来るぞ! 散れっ!!」


シンジの号令と同時に、トロルの棍棒が床を粉砕した。


「ミーシャ、前を頼む! フィリアは距離を取れ! セシリアは絶対に石を離すな!」



「わかってるわ! せやああかっ!!」


ミーシャが棘の鞭を鋭くしならせ、トロルの巨体を牽制する。


だが、トロルはその巨体に似合わぬ速さで鞭を弾き飛ばし、丸太のような腕を振り回す。


「きゃああっ!」


「セシリア、下がって! ……精霊よ、風の盾を!」


フィリアが魔法でセシリアを庇うが、その上空を、あの小鳥が嘲笑うように旋回し始めた。



小鳥の喉が、不気味に膨らむ…


ミレーユが語っていた、あの死の呪文の予兆だろうか…



「……っ、あの鳥に呪文を唱えさせるな! 」


シンジは戻ってきたブーメランを掴み直し、影縫いの短剣を構える。


赤いトロルの蹂躙と、空から降り注ごうとする絶対的な死。 魔物の砦の最深部、4人の生存を賭けた本当の戦いが、今、幕を開けた。


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