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第4章:第89話:胎動する力と暁の行進

第4章:第89話:胎動する力と暁の行進


魔物の砦に、重苦しい夜が訪れた。


シンジたちは、蘇生したばかりのガストンたちを中央に配し、交代で仮眠を取ることにした。


夜の間も、闇に紛れて魔物たちが何度も襲撃を仕掛けてきたが、すぐ側に回復ポイントがある環境が、彼らに絶対的な安心感を与えていた。


やがて暁の光が差し込み、一行は無事に朝を迎えた。


「ガストンさん、あんたたちはここで体力を戻しておいてくれ。俺たちが奥を片付けてくる」


助けた三人を安全な拠点に残し、シンジ、ミーシャ、フィリア、セシリアの四人は、再び砦の奥へと足を踏み入れた。

シンジが前日のうちに道を把握していたため、一行は迷うことなく、複雑な迷宮を突き進んでいく。


道中の連戦により、ミーシャとセシリアに眩い光が降り注いだ。


【パラパパッパッパー!!】


「……商人の極意、Lv15。ようやくここまで来たわね」


ミーシャが不敵に微笑む。そしてセシリアもまた、自身の内に芽生えた新たな神聖魔法の知識に目を見開いた。


「僧侶Lv10……。神様、私にさらなる慈悲の力を……!」


セシリアが授かったのは、失われた命を現世に繋ぎ止める『リボーン』。それは先日フィリアが覚えたものと同じ、成功率は低く蘇生直後も瀕死の状態という、不完全ながらも唯一の希望の光だった。さらに、不自然な眠りを揺り起こす『アウェイク』も習得した。


だが、シンジは冷静だった。


(蘇生魔法が二人に……。だが、ミレーユが言っていた『死の呪文』に対して直接の盾にはならない。食らえば終わりだ。……立ち回りを考え直さなきゃな)


一行がさらに深部へと進むと、周囲の空気が一段と冷え込み、腐臭が混じり始めた。


「……多分、この奥の奥だな」


シンジが短剣の柄を握り直し、重厚な木製のドアに手をかける。ゆっくりと、軋む音を立てて扉が開かれた。


そこには、カタカタと骨を鳴らす、巨大な「骸骨の魔物」が待ち構えていた。 空ろな眼窩に怪しい燐光を宿したスケルトンが、錆びた大剣を振り上げる。


「来るわよ! セシリア、援護を!」


ミーシャの鞭が唸りを上げ、骸骨の肋骨を激しく叩く。


「はいっ、聖なる光よ! スケルトンに浄化の裁きを……『ホーリー・レイ』!」


セシリアが掲げた杖から、眩い白銀の光線が放たれ、骸骨の全身を焼き焦がす。


「……フンッ!」


シンジが影のように滑り込み、大剣を振り下ろす骸骨の足元を狙う。

ガギンッ! と硬質な音が響き、骨の破片が飛び散る。骸骨がよろめいた瞬間、フィリアの放った強烈な矢が、その頭蓋骨を正面から貫いた。


「これで……とどめだ!」


シンジが跳躍し、空中で回転しながら影縫いの短剣を骸骨の首の骨へと突き立てる。

派手な火花が散り、巨大な骸骨はガラガラと音を立てて、床に崩れ落ちた。


「ふぅ……。手応えがあったわね。でも、本当の地獄はこの先……」


ミーシャが額の汗を拭う。シンジは崩れた骨の山を見据えたまま、そのさらに奥にある、赤い怪物の気配を感じ取っていた。


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