第4章:第82話:橋の番人と四人の力
第4章:第82話:橋の番人と四人の力
サカデウスの賑やかな喧騒を背に、四人は巨大な川のほとりへとやってきた。 大切な馬車とルドルフは街の預かり所に預け、ミーシャは冒険者ギルドへ「一週間戻らなければ救助を検討してほしい」との言付けを済ませてある。
目の前に流れる大河。そこに架かる巨大な石造りの橋の入り口で、四人は足を止め、それぞれの装備と実力を最終確認し始めた。
まず、一行のリーダー役を担うシンジ。 職業は盗賊(Lv11)。武器は獲物の動きを封じる特性を持つ影縫いの短剣だ。 防具は木の盾、革の帽子、そして彼の象徴でもある赤色の革の鎧。アクセサリーにはエフルの守りを身につけている。 スキルは索敵、鍵開けに加え、戦闘用の不意打ち、砂煙り、さらに眠りアタック、しびれアタックといった妨害技、そして対空戦に強いウイングブロウを使いこなす。
次に、パーティの柱であるミーシャ。 元武闘家(Lv24)であり、現在は商人(Lv14)。武器は棘の鞭と棍。 商人の帽子と革の鎧、そしてエフルの守りを装備。 スキルは多彩で、鑑定、交渉術、算術のほか、元武闘家らしい体術、足払い、正拳突き、飛び膝蹴り、必中拳。さらにはかまいたちや広範囲攻撃の石つぶて、一撃必殺の力溜めまで備えた、攻守の要だ。
そして、エルフのフィリアは狩人(Lv10)。 武器はエルフの弓とエルフの短剣。防具は旅人の帽子にエルフの鎧、同じくエフルの守りを着用。 スキルは精密射撃。魔法は精霊の力を借りる精霊魔法を主軸に、回復魔法(小)や幻影魔法で仲間をバックアップする。
最後に、パーティの守り手セシリアは僧侶(Lv9)。 僧侶の杖を手に、僧侶の帽子と僧侶の服という清廉な出で立ちだ。 スキルは、回復魔法(小)や解毒の魔法といった癒やしの力のほか、敵の命中率や守備力を下げる弱体化、相手を眠らせる魔法、味方の素早さを上げる魔法、さらには広範囲への風魔法を操る。
「……よし。装備に不備はないわね。シンジ、準備はいい?」 ミーシャの声に、シンジは短剣を握り直し、深く頷いた。 「ああ。行こう。俺たちの腕試しだ」
そこで四人は、橋の入り口で自然と円を描くように並んだ。 中心に向かって、それぞれの指を力強く突き出す。
「ええと……今日は私の番ね」 ミーシャが中心に指を指しながら、厳しい表情で最終確認を行う。 「各人、薬草も眠り覚ましの葉も持ったわね?」
「持ちました!」 他の三人が声を揃えて応える。その瞳には迷いはない。
「よし……じゃあ、御安全に!」 ミーシャが号令をかけると、シンジ、フィリア、セシリアの三人が一点を見つめて唱和した。
「御安全に!」
突き出した指を戻し、歩き出そうとして……ミーシャがふと、おかしそうに口元を緩めた。 「……にしても、シンジに教えてもらったこの挨拶。……なんだか、不思議な響きで変な感じね」
「そうかな? 現場の基本だぜ」 シンジが照れくさそうに笑い、四人はついに、赤いトロルが支配する巨大な石橋へと、最初の一歩を踏み出した。




