第4章:第78話:地方都市サカデウス
第4章:第78話:地方都市サカデウス
昨夜の和やかな晩餐から一夜明け、馬車は再び街道を力強く進んでいた。
時刻は昼過ぎ。 御者台でミーシャが器用に手綱を捌く横で、シンジ、フィリア、セシリアの3人は、セシリアが用意してくれた手作りのサンドイッチを頬張っていた。
「ん、このサンドイッチ……やっぱりセシリアさんの料理は最高だな」
「ふふ、ありがとうございます。しっかり食べて、午後の旅路に備えてくださいね」
セシリアが聖職者らしい柔らかな微笑みを浮かべる。 だが、ミーシャが操る馬車が街道の凹凸を拾って激しく上下に揺れるたび、セシリアの豊かな胸もまた、シスター服を押し上げるようにしてボインボインと無防備に波打っていた。
隣に座っているシンジは、サンドイッチを口に運びながらも、その至近距離で繰り返される暴力的なまでの揺れに視線を奪われ、チラチラと何度も横目を向けてしまう。
(……くっ、いかんいかん。ミーシャが真面目に運転してる横で、俺は何を見てるんだ……。でも、あれは反則だろ……目が離せねえよ……)
そんなシンジの煩悩を乗せて、馬車は魔物の群れが潜むエリアへと突入していった。
今日の4人は昨日までとは違った。 魔物が現れるたび、ミーシャが的確に指示を飛ばし、フィリアとセシリアは惜しみなく魔力を練る。戦闘が終われば、昨夜の話し合い通り、各自が手際よく薬草ジュースで傷を癒やしていく。
「……んぐ、んぐ。……ぷはぁ、苦いけど効くな」
シンジだけは、薬草をそのまま口に放り込んで「もぐもぐ」と力強く噛み砕いていた。
「ちょっとシンジ、あんたねぇ……。もう少し、こう……スマートにできないわけ?」
御者台から振り返ったミーシャが呆れたように溜息を吐くが、その表情には仲間への信頼が滲んでいた。
淡々と、けれど確実に戦闘をこなし、ゴールドを回収しながら進むこと数時間。 不意に、ミーシャが前方の地平線を指差した。
「ほら、見て! やっと見えてきたわ。あれが次の目的地、地方都市サカデウスよ!」
その声に全員が視線を向ける。 遠くに見える巨大な城壁と、そこから立ち上るいくつもの煙。馬車が近づくにつれ、かつての拠点だったリーベルにも劣らない、活気に満ちた人々の喧騒が風に乗って届き始めた。
石畳の感触が馬車に伝わり、巨大な門をくぐる。 視界に飛び込んできたのは、軒を連ねる商店、行き交う多くの冒険者、そして賑やかな市場の熱気だった。
「ここが……サカデウス……。リーベルと同じくらい、賑やかな街ね」
フィリアが目を輝かせ、セシリアも感銘を受けたように周囲を見渡す。
新しい街での出会いと、さらなる冒険の予感を胸に。 ミーシャが巧みに操る馬車は、活気あふれるサカデウスの街並みへとゆっくりと入っていった。




