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第4章:第76話:ゴールドの輝きと、福音の調べ

第4章:第76話:ゴールドの輝きと、福音の調べ


街道に静寂が戻った。 ついさっきまで空を覆っていた無数の鳥の魔物たちは、一羽も残らず光となって消え失せ、石畳の上にはその証として、幾ばくかのゴールドだけが散らばっていた。


その輝きの中で、ミーシャ、フィリア、セシリアの3人は、まだ街道の上に横たわっている真司シンジを囲んでいた。


「……っ、シンジ! 大丈夫!?」


フィリアが駆け寄り、その姿を見て息を呑む。 魔物は消えても、シンジが負った傷は消えない。彼のピンク色の皮鎧は鳥たちの鋭い嘴でズタズタに裂かれ、露出した肩や脇腹、そして頬の肉が所々無惨に削り取られていた。鮮血が石畳に広がり、見ていられないほどの重傷だ。


その時だった。


フィリアとセシリア、2人の耳に、祝福を告げるような清らかなファンファーレが鳴り響いた。


「これ……レベルアップの……?」


戦いの過酷さが、2人を一段上の領域へと押し上げたのだ。 フィリアは狩人レベル10に到達したことで「回復魔法(小)」を。そしてセシリアは僧侶レベル9へと成長し、新たに「睡眠魔法」の知識をその脳裏に刻んでいた。


「シンジさん……! 待っててください、今すぐ起こして、傷を……っ!」


焦るフィリアが、シンジの肩に手をかけようとしたその時。


「待って! フィリア, 待ちなさい!」


ミーシャが鋭い声で制止した。


「待ってよ、今起こしたら大惨事よ……っ。肉を削り取られてるのよ? 起きた瞬間に激痛でショック死するか、パニックで暴れて傷が開くわ。今は魔物の魔法で深く眠ってるからいいけど、先に……先に回復魔法を掛けてあげて!」


「そ、そうね……。セシリアさん、MPは残ってる!?」


「す、少しなら……っ。シンジさんのために、振り絞ります……!」


セシリアは震える手で杖を握り直し、フィリアもまた、覚えたての回復の魔力を練り上げた。


「「――癒やしの光よ!!」」


2人の手がシンジの傷口にかざされる。 柔らかな光の粒子が、シンジの傷を優しく包み込んだ。一度、二度……何度か繰り返し魔法が注がれるたびに、深く抉れていた傷口が滑らかに塞がっていき、失われた血色がシンジの頬へと穏やかに戻っていく。


HPが十分に回復し、魔法の眠りが解ける頃。 シンジは、瞼をゆっくりと震わせた。


「……あ、お、俺……。……あ……」


ぼんやりと焦点が合う。目の前には、自分を心配そうに覗き込む、涙目の美少女たちの顔があった。シンジは状況を思い出し、決まり悪そうに頭をかいた。


「……ごめん。……寝ちゃってたね、俺」


その間抜けな第一声に、3人は安堵と同時に、深い溜息を吐くのだった。

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