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第4章:第74話:パニックと幻惑の霧

第4章:第74話:パニックと幻惑の霧


「ひ、ひいいぃっ! 来ないで! あっち行ってくださいっ! 吹き飛んでえぇぇ!」


街道を右往左往しながら、セシリアは半泣きで杖を振り回していた。 彼女が必死に杖を突き出し、全身を激しく動かすたびに、その豊かな胸元――あの二つの大きなメロンが、シスター服を内側から突き破らんばかりにプルンプルンと激しく上下左右に揺れ動く。


重そうな質量を伴って弾むその双丘は、風の魔法を放つ衝撃でさらに大きく波打ち、まさに真司シンジが予言した通り、いつ「スイカ」へと進化してもおかしくないほどの迫力でぶつかり合っていた。


「ああっ! 魔法に当たった鳥が、服の中に飛び込んできたらどうしよう……っ。そのまま私の……わたしの柔らかいところを啄まれて、シンジさんの目の前で無様な姿を……ああっ、でも、眠っているシンジさんに無理やり……っ! いえ、そんな破廉恥なこと、ダメですっ! じゅわっ!」


「落ち着いて、セシリアさん! 魔法を乱発したら魔力が持たないわ!」


フィリアが弓を射ながら叫ぶが、セシリアの耳には届いていない。パニックと妄想が限界突破した彼女は、その大きなメロンを激しく揺らしながら、狂ったように風の魔法を連発し、街道を砂嵐のような光景に変えていた。


(……ダメ、このままじゃジリ貧だわ。私の矢も、セシリアさんの魔力もいつかは尽きる。二人が眠っている間に、なんとかしてこの数を削がないと……!)


フィリアは必死に頭を回転させた。 いつも使っている精霊魔法では、一体ずつの火力は高くても、これだけの数を一度に足止めするのは難しい。


(……やるしかないわね。あまり得意じゃないけれど……!)


フィリアは弓を一旦背負うと、印を組み、いつもとは違う系統の魔力を練り上げた。精霊の力を借りるのではなく、自らの魔力で対象の認識を歪める、一般的な幻惑の魔術。


「……眩惑の霧よ、彼らの瞳を欺きなさい!」


フィリアが鋭く叫び、両手を広げる。 すると、彼女の手のひらから淡い紫色の光が波紋のように広がり、空を埋め尽くしていた鳥の群れの約半分を包み込んだ。


「クルッ……?」「キィ!?」


魔法に掛かった鳥たちの目が、一瞬にして濁る。 彼らの視界には、隣で飛んでいる仲間が恐らしい天敵か、あるいは自分を攻撃してくる宿敵に見えているはずだった。


一羽が隣の仲間に嘴を突き立てると、それを合図に群れの半分がパニックに陥り、空中での凄まじい「同志討ち」が始まった。


「……っ、効いたわ! セシリアさん、今よ! 隙ができたわ!」


さっきまで自分たちを襲っていた黒い渦が、内側から崩壊していく。 鳥たちは互いに突き合い、羽根を散らしながら次々と墜落していった。

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