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第1章:第7話:職(ジョブ)と、未来への選択肢

第1章:第7話:ジョブと、未来への選択肢


街道脇に佇む、大きな樹の木陰。 馬車を止め、俺たちは束の間の休息をとっていた。


真司の身体には、午前中の数回の戦闘でついた土汚れと、そして確かな「経験」の感触が刻まれている。 階位レベルは4。短時間で驚異的な成長だが、それはこの世界が俺に与えてくれた「適応」の結果なのだろう。


「はい、お疲れ様。今日のお昼は干し肉とチーズのサンドイッチよ。しっかり食べなさい」


ミーシャから手渡された食事を頬張りながら、俺は自分のステータスを確認するように拳を握りしめる。指先の震えはもう止まり、代わりに確かな力が宿っている。


「……なぁ、ミーシャ。さっき戦った時、なんだか体が勝手に、最適解を選ぶみたいに動く感じがしたんだ。これがレベルアップの効果なのか?」


「そうよ。魂の階位が上がれば、身体能力だけじゃなく直感も鋭くなるわ。……あ、ちなみに私もさっきレベル10に上がったの! 10になると商人の勘がさらに冴えるのよね、これが」


ミーシャは得意げに、細い指先で自分の鼻をツンと突いた。 彼女は立派な『商人』という天職ジョブについている。対して俺は……。


「シンジ、あんたは今はまだ、ただの『旅人』。言わば空っぽの器ね。……この世界で本気で生きていくなら、早めに『職』を定めた方がいいわよ。特有の技も魔法も覚えないんじゃ、この先もっと凶悪な魔物に出会った時に、自分の命も守れなくなっちゃうわ」


「職、か……」


現代日本での『営業職』という肩書きは、俺にとっては心を削るだけの重荷でしかなかった。だが、この世界での職業は、自分を助け、誰かを守るための「力」そのものだ。


「安心して。今向かってる隣の村にね、ちょうど神殿から出張してきている神官様がいるのよ。そこで『転身の儀(転職)』の手続きができるはずだわ」


「転身……。自分を、新しく書き換える場所か」


その響きに、俺の胸が騒ぐ。 戦士、武闘家、魔法使い、僧侶……。 かつてコントローラー越しに夢見た、あの輝かしいジョブたちが、すぐそこまで迫っている。


「シンジなら何がいいかしらね? 前線で私を守ってくれる『戦士』? それとも、機動力を活かした『武闘家』? ……案外、神官様みたいな癒やし手も似合うかもよ?」


ミーシャは俺の顔を覗き込み、ニヤリといたずらっぽく笑った。 俺は食べかけのサンドイッチを置き、地平線の先に見える、隣村の小さな影を見つめる。


(営業はダメだった。人付き合いも、器用に立ち回ることもできなかった。……でも、この『シュッとした身体』と、俺の中にずっと眠っていた『自分の手で、何かを形にしたい』という情熱。それを活かせる道が、きっとこの世界のどこかにあるはずだ……!)

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