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第4章:第68話:険しき山と、震えるシスター

第4章:第68話:険しき山と、震えるシスター


昼食を終え、ようやく人心地ついた一行は、神父の案内に従って教会のさらに奥へと進んでいた。 ひんやりとした石造りの廊下を歩きながら、神父はどこか遠くを見るような目で、ポツリポツリと語り始める。


「シンジさん……改めて、娘のことを頼みます。あの子、セシリアは、私が年老いてからやっと授かった一人娘でしてね。私はあの子に、いつか外の世界へ羽ばたき、立派な冒険者として育ってほしいと願っているのですよ」


神父は、歩きながら昔を懐かしむように目を細めた。


「今年で24歳になります。性格は……ええ、非常に真面目なのですが、いかんせん極度のコミュ障でして。おまけに、少々……いえ、かなりエッチな妄想癖が激しいのです。……あの子、昔は私の願いに応えようと、冒険者を夢見てましてね」


前を歩く神父の背中が、わずかに寂しげに揺れる。


「18歳の頃でしたか。『レオーナの酒場』で冒険者登録をして、立派になってくると意気込んで首都へ旅立ったのですが……。結局、何があったのか、数ヶ月も経たずにボロボロに泣きながら、夜行の長距離馬車に揺られてここに逃げ帰ってきたんですよ」


「……へぇ。夜行馬車で泣きながら、か」


シンジは、借りた服の襟元をいじりながら他人事のように相槌を打った。 隣を歩くミーシャは、神父の話を聞くたびに「……はぁ」と、これからの旅の難易度を計算しては顔を険しくさせている。


「……ここです」


神父が立ち止まったのは、突き当たりの小さく古びた木の扉の前だった。


「セシリア、入るぞ」


ガチャ……と、神父が遠慮がちにドアを開ける。


「ひ、ひゃあああぁっ!? お、お父さん……なに? えっ、男の人……ひえっ……」


扉が開いた瞬間、本棚の影に隠れようとした彼女――セシリアは、シンジの姿を認めた瞬間に顔を真っ赤にし、目に見えて震え出した。その顔は、とても24歳には見えないほど幼く、愛らしい『ロリ顔』だった。


部屋を見回したシンジは、目の前の「それ」と神父の話がどうしても結びつかず、不思議そうに首を傾げた。


「……あれ? 神父さん。お嬢さん……っていうか、その、セシリアさんはどこにいるんだ? 別の部屋か?」


「……シンジさん、目の前にいますよ」


神父が困ったように手招きをする。 「ほら、セシリア。ご挨拶なさい。あなたを首都まで送ってくださる方々だ」


促された彼女は、膝をガクガクと震わせ、今にも泣き出しそうな顔でゆっくりと立ち上がった。


「わ、……わたし……が……、せ、セシリア……です……っ」


消え入るような小さな声。 だが、その彼女が完全に立ち上がった姿を視界に入れた瞬間、シンジの思考は別の方向で停止した。


幼い顔立ち。 しかし、その首元から下、ゆったりとしたシスター服の上からでもはっきりと分かる、Eカップはありそうな豊満な胸の曲線。彼女が震えるたびに、その重みは「確かな存在感」となってシンジの目に飛び込んできた。


「…………」


シンジは、彼女の怯えきったコミュ障っぷりと、そのあまりにも見事なギャップを見比べ、深い溜息とともに呟いた。


「……こりゃ、この山を登るには、険しそうだな……」


性格的にも、物理的にも。 シンジの予感は、確信へと変わっていた。

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