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第4章:第60話:引きずられる運命(さだめ)

第4章:第60話:引きずられる運命さだめ


「シンジ……さん…?」


フィリアが震える声で呼びかけ、動かなくなったシンジの傍らへ駆け寄った。脇腹をまともに打ち抜かれた衝撃は凄まじく、彼は微動だにしない。吐き出された血が、草原の緑をどす黒く染めていく。


「嘘……そんな、シンジさん! 目を開けてください!!」


フィリアの悲鳴が静寂を切り裂く。だが、その背後でミーシャは静かに棘の鞭を巻き取ると、ふぅ、と長く、どこか諦めに似たため息を吐き出した。


「……まぁ、冒険してたら、いつかはこういう時もあるわよね」


「……え?」


フィリアが信じられないものを見る目で振り返ると、ミーシャはすでにシンジに背を向け、黒い巨人の死骸が消えた場所でゴールドを拾い集めていた。


「あっ、宝箱も発見!! 運がいいわ、中身は何かしらね?」


ミーシャは喜々として宝箱を抱え上げると、それを手際よく荷馬車へと積み込んだ。 その時だった。草原に横たわっていたシンジの体が、前触れもなく「ポンッ」と音を立てて消えたかと思うと、そこには古びた一竿ひとさおの木製の棺桶が置かれていた。


「な、ななな……何ですか、これ!? シンジさんは!? シンジさんはどこへ行っちゃったんですか!?」


パニックになるフィリアを余所に、ミーシャは不思議そうに首を傾げて彼女を見た。


「あれ? フィリアちゃんって冒険者が死ぬ所見た事ないの? ……まあ、こんな感じだから」


「こ、こんな感じって……っ!?」


あまりにも事務的な回答にフィリアが絶句する中、ミーシャは平然と懐から地図を取り出し、指先でなぞり始めた。


「えーと、この辺りで教会がある所っと……。ああ、見つけた。少し南に村があるわ、こっちよ」


ミーシャは南を指差すと、事もなげに御者台へ飛び乗った。


「……っ!? ミーシャさん! シ、シンジさん……じゃなくて、この棺桶、置いていくんですか!?」


「大丈夫だから。フィリアちゃんも早く馬車に乗って」


「な……なんなの、この人……っ!?」


フィリアはもはや恐怖を通り越した顔で、半ばやけっぱちに荷台へ飛び乗った。 ミーシャが手綱を振ると、馬車がゆっくりと動き出す。


すると、道に残されていたはずの棺桶が、重力を無視してフワリと浮き上がった。 そして馬車が加速するのに合わせ、一定の距離を保ったまま、音もなくシュルーッと後ろを付いてくるではないか。


ガタゴトと揺れる馬車の後方で、空中を滑るように追ってくる棺桶。 フィリアはそれを見つめたまま、ひきつった笑顔で固まるしかなかった。

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