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第3章:第52話:帰還の路、確かな足跡

第3章:第52話:帰還の路、確かな足跡


ムサカ村へと続く復路。一度通ったはずの山道だが、三人の足取りは以前よりも幾分か安定していた。


「来るわよ!」 ミーシャの警告と同時に、茂みから三体の魔物が飛び出す。


シンジが低く身構え、地を蹴る。短剣が魔物の懐へ滑り込み、そこへフィリアが回り込む。お母さんのシルフィアから授かった『エルフの鎧』は軽く、彼女の動きを邪魔することなく肌に馴染んでいる。


「……たっ!」 『エルフの弓』から放たれた矢が、魔物を射抜く。最後の一体をシンジが仕留めた時、ファンファーレが鳴り響いた。


――パッパパパー、パパパパッパパー!


その音に合わせて、フィリアを温かな光が包み込む。 「……あ、レベルが上がったみたい」 少しだけ体が軽くなったような、そんな微かな実感を噛み締めながら、フィリアは弓を構え直した。続いて、シンジとミーシャの元にも、あの音が訪れる。


シンジ(Lv.11)、ミーシャ(Lv.14)、フィリア(Lv.9)。


二度目の野営。焚き火の炎が三人の影を揺らしている。ムサカ村まであと半日。


「……なんだか、不思議ね」 ミーシャがスープを配りながら呟いた。 「来た時と同じ道なのに、今は少しだけ、足元がしっかりしてる気がするわ。一歩ずつ、ちゃんと進めてるからかしら」


シンジが短剣を布で拭い、鞘に収めながら頷いた。 「ああ。……少しずつだけど、やれることが増えてきた気がする。……フィリア、その装備も、使いやすそうだな」


フィリアは膝の上の弓をそっと撫でた。 「ええ。特別なものじゃないけれど、手に馴染んでる。……三人で力を合わせれば、魔物の邪魔を退けて、妖精の笛を吹く……その当たり前のことを、明日こそやり遂げられる気がするの」


三人は、晩ごはんの温かな湯気の向こうで視線を交わす。 そこにあるのは過剰な決意ではなく、ただ明日を乗り越えようとする、静かな共有だった。

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