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第2章:第29話:銀色の瞳と、忘れられた約束

第2章:第29話:銀色の瞳と、忘れられた約束



「……っ、……あ……」


ミーシャの必死な介抱により、少女の長い睫毛がゆっくりと持ち上がった。


現れたのは、澄み渡る冬の空のような、深い銀色の瞳。


彼女はまず、自分の手首に残る手枷の跡を見つめ、それから目の前にいる二人を――泥と血に汚れながらも自分を救い出したシンジと、傍らで鞭を置き、心配そうに覗き込むミーシャを、怯えたように見上げた。



「……あなた……たちは……だれ……?」


鈴の音を転がしたような、透き通った声。けれど、そこには長い間、孤独と絶望に晒されてきた者の震えが混じっていた。


「怖がらなくていいわ。私はミーシャ、こっちはシンジ。私たちは、あの歌う植物……あなたを閉じ込めていた化け物達を倒しに来たの」


ミーシャが優しく語りかけ、シンジは少し距離を置いて、彼女を威圧しないように静かに頷いた。


シンジは、自分たちが村の呪いを解くためにここまで来たこと、そして偶然彼女を見つけたことを、言葉を選びながら説明する。




「……倒…したの? あの、私の声と魔力を奪い……呪いの旋律に変えていた、あの苗床を……?」


少女の瞳に、信じられないというように涙が溜まっていく。


「……私は、フィリア。……ずっと、待っていた気がするわ。この暗闇を切り裂いて、私を歌から解放してくれる誰かを……」


フィリアと名乗った少女は、弱々しく、けれど確かにシンジとミーシャ、二人の手をそれぞれ握りしめた。


その指先は驚くほど細く、そして冷たかったけれど、二人の体温を感じるように、何度も、何度も、その感触を確かめていた。

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