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第2章:第26話:終焉の旋律、そして限界の先へ

第2章:第26話:終焉の旋律、そして限界の先へ


ジェネラルを失い、断末魔のような不協和音を響かせる巨大植物。その中心部がどろりと赤黒く変色し、洞窟全体を震わせるほどの魔力が膨れ上がった。


「シンジ! 伏せてっ!!」


ミーシャが叫ぶ。直後、植物の本体から、鋼のように硬質化した無数の葉と、太い蔦が弾丸のような速度で射出された。 ミーシャは咄嗟に『棘の鞭』を自分の前で幾重にも螺旋状に回転させ、物理的な防壁を作る。神父の加護の残光が鞭の表面で火花を散らすが、次々と着弾する蔦の圧倒的な質量と衝撃までは殺しきれない。


「くっ……ああっ!!」


鞭の防壁を強引に突破した蔦の一撃がミーシャを捉え、彼女の身体は木の葉のように激しく地面を転がった。


「ミーシャ!! ……この……化け物がぁっ!!」


シンジが叫び、影を蹴る。だが、怒り狂う植物の本体から、狂乱した蔦が無数に地面から突き出し、逃げ場を奪うようにシンジの足を、腕を、容赦なく掠めていく。レベル8の『気配察知』をもってしても、全方位から押し寄せる密度の攻撃を完全には回避しきれない。シンジの身体に次々と赤い線が刻まれ、鋭い痛みが脳を焼く。


(……クソッ、意識が……。あの歌声が、また……強くなって……)


ここからが植物の「真の脅威」だった。 ボスの怒りに呼応するように放たれる歌声は、神父の加護をも貫かんとするほど重く、深い眠りへと誘う。膝をつきかけるシンジ。その視界の端に、ボロボロになりながらも立ち上がろうとするミーシャの姿が見えた。


「……シンジ……。……負けないで。……私たちの……勝ちよ!」


ミーシャは落ちた鞭を拾い上げると、それを自分の腕にきつく巻きつけた。棘が食い込み、血が滲む。その激痛を、眠気を払うための覚醒剤に変えて、彼女は最後の一閃を放つ。


「――今だ、シンジ!! 全力で行けぇっ!!」


絡みついた鞭が、狂ったようにのたうつ植物の根元を固定し、動きを一瞬だけ止める。


「……うおおおおおっ!!」


シンジは残された全魔力を脚に込め、弾丸となって空を舞った。蔦の網を紙一重で潜り抜け、逆手のナイフが植物の『核』――口の奥で怪しく光る結晶へと突き立てられる。


「『シャドウ・エンド』!!」


パァンッ、とガラスが砕けるような音が洞窟に響き渡った。次の瞬間、おぞましい歌声はピタリと止まり、巨大な植物は灰となって崩れ落ちていく……。


膝から崩れ落ちるシンジ。隣に倒れ込むミーシャ。二人は傷だらけの体で、ただ荒い息を吐きながら、互いの無事を確かめるように手を伸ばした。

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