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第2章:第22話:祈りと剣の七日間

第2章:第22話:祈りと剣の七日間


ムサカ村での滞在が始まって、一週間。 真司の日常は、これまでの人生で最も過酷で、そして「生きている」実感に満ちたものとなっていた。


「……よし、これで最後の一人だ」


真司は汗を拭いながら、広場に倒れていた若い娘を抱え上げ、教会の長椅子へと運び終えた。教会の中は、今や眠り続ける村人たちで埋め尽くされている。彼らはまるでおだやかな夢を見ているかのように静かだが、その命の灯火は少しずつ、確実に削られていた。


教会の裏手には、神父が簡易な結界を張ってくれたスペースがあり、そこに二人の馬車を停めていた。 「……よし、いい子だ。しっかり食べてろよ」 真司が声をかけると、馬は鼻を鳴らして元気に飼い葉を食んでいる。結界のおかげで馬たちは眠りに落ちることなく、いつでも出発できるほど活気に溢れていた。明日の決戦、二人はこの馬車を置いて、徒歩で森の奥へと切り込むことになる。


「お疲れ様、シンジ。……はい、これ。さっき川で捕まえた魚、焼けたわよ」


ミーシャが焚き火のそばで、香ばしく焼けた川魚を差し出す。 彼女もまた、この一週間で成長していた。真司が前線で魔物を引きつけている間に、武闘家としての身のこなしで危ういところを援護し、的確に立ち回る。その連携はもはや、言葉を交わさずとも視線だけで通じ合う域に達していた。


「……ああ、美味いな。……明日こそは、あの森の最深部、あの『歌声』の主のところまで行けそうだ」


「ええ。私たちのレベルも、この一週間で上がったものね」


【真司:レベル5 → 8】 盗賊としての身のこなしはさらに鋭さを増し、気配を完全に消す『隠密』や、敵の急所を瞬時に見抜く『看破』の力が備わりつつあった。


【ミーシャ:武闘家レベル24/商人レベル10 → 11】 商人としての目端の利きに加え、この一週間で真司の動きに合わせた立ち回りを覚え、棍による牽制や防御の精度が上がっている。


夜の教会。 窓の外からは、相変わらずあの不気味で美しい歌声が、霧と共に流れてくる。けれど、今の二人の瞳に、迷いはなかった。


「……ミーシャ、明日だ。明日、決着をつけよう」


「……わかってるわ。……二人で、この村に朝を連れて帰りましょう」


焚き火の爆ぜる音と、隣り合う二人の体温。 一週間の修行で手に入れた「力」と、分かち合った「時間」。それらすべてを武器に変えて、二人はついに、静寂に沈む森の心臓部へと挑む決意を固めた。

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